夢2

□節介焼き
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芹『先輩も片付けちゃわないと部長に怒られますよ?』



『うっせーな今やってんだよ』



三『いきなり大掃除だなんて、まぁ年末だからなぁ』



芹『でもこの忙しい時になにもしなくったって』



三『あれだろ、今度は視察にくる…』



伊『あー…なるほどな、お偉いさんにしっかりしてるアピールな』






引き出しをあけゴソゴソと中身を取り出していると奥から一枚の写真がでてきた





芹『ん…?先輩落とし』



伊『ん?』







写真を見た芹沢がドン引きした顔をして俺から遠ざかる





伊『おい、なんだよ』



芹『そんな、いくら先輩女子高生が魅力的だからってこんな年下に手を…』



伊『はぁ?なにいってんだ貸せ!』



三『ん?これ…』



伊『あー…ずいぶん懐かしいなぁ』



芹『へ?』



伊『これは俺が捜査一課で奮闘したての頃の話だよ、若いだろ?』



芹『(全然顔が変わらない)えーッと、その頃の彼女すか?』



伊『ち、ちげぇよ!』



三『あれは8年前だったか…』























































聞き込みにいった矢先、なぜか俺にだけは取り調べされたくないと言われ(←女心わからなかった結果)適当に屋上で煙草をふかしにきた






伊『…ん?』





このマンションの住人らしき人影を見て煙草とライターをとりだす






ガシャンッ







伊『は!?おいっ!!!』







その女は俺に気づいていなかったのか今まさに飛び降りようと足をかけた






『…へ?』



伊『ばかっ!!何してんだ!!こっちこい!』



『…』






予想してたよりも普通に飛び降りるのを止めてこちらへ向かってきた




見たところ学生のようだった





『…』



伊『ばかやろう!死ぬかもしれねぇとこだったぞ!!』



『別に…そうなってもよかったしそうならなくてもよかったし』





なんなんだこの女は





伊『あんた命をなんだと思ってんだ!!!!』






俺の怒鳴り声に捕まれた肩をビクリと跳ねて目をまるくする






『ふ…ぅっ……うわぁぁぁああん!!うわぁぁ…』




伊『は!え、ちょっ!』






いきなり泣きやがった!





伊『〜!』






なんで俺が泣かしたみたいな






伊『あーもうあんたちょっとこっちこい!!』








































伊『…』





三浦からの連絡はまだないからいいとして


なんでこんなことに





『…』






あんまりに泣くのでマンションの横にある人気のない公園に連れていく、自販機で買った飲み物を手渡し同じベンチに座った





『…ごめん、なさい』



伊『…』



『駄目だってわかってるんです…けど、辛くて…』



伊『…何がそんなに辛いんだよ』



『虐められてるんです、学校で』






あぁ、よくある話だ





伊『止めるなり転校するなりすりゃあいんじゃねぇの?』



『そうしたいんですけど、私立で親が止めるに止めさせてくれないし虐めてるのはお父さんの会社の社長の娘で…』



伊『…』






なんだそのドラマ展開は






『下手に反抗したらきっとお父さんクビになるしそしたら…』



伊『…』



『もう、どうしていいかわかんなくて!だから…自殺するつもりはなかったんですけどああやってると落ち着いてしまって』



伊『…』



『……話、一方的に聞いていただいてありがとうございます お茶いくらですか?』



伊『いいよ』



『…そう、ですか…ありがとうございます』



伊『頑張れよ』



『…え?』



伊『頑張るんだろ?見知らぬ人に言われるのは変だろうが応援してやる』



『ありがとうございます、おじさん』



伊『俺はまだ30代前半だぞっ!!』



『え、えと…お兄さん?』



伊『伊丹でいい』



『伊丹さん、ありがとうございます』



伊『自殺はするなよ…お前の死体は見たくねぇ』



『ふふっ…刑事さんみたい』



伊『刑事だ』



『え!』



伊『その虐めてる奴と戦え、家族なら一緒に戦ってくれる それに俺は権力を利用する奴が気にくわねぇからな』



『…はいっ!』























三『さぁて…次は○○で…』



伊『じゃあ…で、あぁ……それでいくか』






あれから三日、なんとなくあの自殺女が気になってはいるが連絡も知らない








男『おい!伊丹、三浦!○○のマンションで飛び降り自殺だ』



伊『!』



三『リストラを苦に自殺したサラリーマンってとこか?』



男『いや、どうやら学生らしくて』







ドクンッ






伊『ッ…』



三『まだ若いのに…よし、現場行くぞ』






ドクンッ






伊『(まさか、いやまさか)』







そのマンションは彼女が飛び降りようとした場所であった



ドクドクと嫌な予感が脈をうつ






伊『(まさか馬鹿な真似してねぇよな…?)』




































三『あぁ…こいつぁひどい』







真新しい死体に向かって手を合わせる


どうか、どうか彼女でありませんように






伊『…』





ぐちゃりと歪んだ顔はあの日の彼女とは似ても似つかない、しかし髪の毛や服装、他の特徴を見れば彼女でないことは明白だった





三『どうかしたか?まさか知り合いか?』



伊『いや…大丈夫だ、人違いだ』






死体を前にして彼女でなくてよかった、などと不謹慎なことを思いながら仕事に集中する







三『学生証…○○高校…』



伊『よし、聞き込み行くか』















































被害者の身元を割出したはいいものの自殺の線で間違いなさそうだ
家族に遺言書を残していた






伊『にしてもだ、この学校クソだな』



三『シッ…伊丹聞こえるぞ』







校長や教員の話を聞くべく校長室に招かれたはいいもののどいつもこいつもクズ野郎だ



口を揃えていじめはありませんなんてよく言えたもんだ

あの女ここの制服だった…つまり苛めを見て見ぬふりをしている





三『ですが自殺する直前に苛めが原因だとほのめかすような文がありましてね?』



教員『学校の外、かもしれませんね…彼女は内気でしたがけして悪目立ちはしませんし優秀でしたから』



伊『はっ…』





ヘドが出る





三『…ではまたうかがうことがあれば御協力お願いします』























伊『くそ!!くそ!なんだあいつら!』



三『まったくだ…俺の娘があそこに通ってなくてよかった』



伊『人ひとり死んで…あ』



『…』








自殺した現場に手向けられた花束の横に御菓子らしきものを置いて手を合わせる一人の女子高生



その頬には涙が伝っていた






伊『…』



三『先にいってるぞ』



伊『あぁ…』



『…』



伊『…おい』



『!!…!あ、おじさ…伊丹さん』



伊『今おじさんって言おうとしなかったか?』



『…友達が』



伊『あぁ、知ってる…今俺が学校や親に聞き込みにいってた』



『あのこ、自殺なんかじゃない…』



伊『…へ?』



『あの女が…』



伊『あの女って?』



『私を苛めてた女、あれから標的をかえて…それで、死んじゃった…』








だとしても、自殺にはかわりない…あまり俺は関われなくなるかもしれない







伊『そう、か』






   
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