長い夢

□第十話(最終話)
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『い、忙しい!お家帰りたい』



なんなんだこの慌ただしいのは!あの事件があってから処理こ追われてる

母からも心配のメールはあるししばらく帰れないかもと告げたしでてんてこ舞い




『ひぃー!仮眠とっててよかった、』





伊丹さんたちは他の仕事をしている

私はほぼ雑用に近いことばかりだが新人だから仕方ない




『伊丹さんたち大丈夫かな…』












あれから数日たった、私は思ったより変化のないことに違和感を覚えつつ仕事続ける



『んー…頭痛い』


伊『おい』


『あ、伊丹さん!』


伊『行くぞ』


『へ?』


芹『犯人がわかったんだ』


『え?え?』


三『立て籠り犯をどさぐさに紛れて撃ったのは上のやつらだ』


『あの3人…!』




あんのたぬきじじい…!ん?なんでたぬきなんだ?ん?なんで3人なんだ?




『私も動向しても…?』


三『あぁ、あと詳しいことは移動しながら話す』


伊『行くぞ』


『はい!』




















『こんなとこでクルーザーを楽しんでるんですか…呑気な人たちですね』




つかつかと右京さんたちのところへ向かう


くぅ〜!格好いい!!
伊丹さんの後ろ姿に見とれちゃう!




三『…』





三浦さん暑そう…熱中症大丈夫かな?
みんなもスーツだし暑そう、いや私も暑いや



『…』




頭が痛いな…熱中症になりかけてるのかな?






『んん…』


伊『3人に殺人容疑がかかってます、御同行願いますか』




クルーザーの中でモールス信号だのなんだの会話を繰り広げる右京さんたち



余裕な顔をする長谷川たち



『(こいつらクズか…)』




腐ってる




警察の人間なのに…伊丹さん見習えゴラァァア!!←
ていうか右京さん見習えこのやろー!












その後奴らは結局捕まらなかった



権力をものにした




官房長官のテープレコーダーは部下のものだと豪語され私たちはスッキリしないまま事件は解決していった…

















仕事を続けているともう帰ってもいいぞと告げられる、そんな時間かと思いながら準備をし駐車場へ向かう





『お先失礼します…伊丹さんお疲れ様です』


伊『あぁ、お疲れ』


『…』






伊丹さんはあれからやっぱり少し変わった


私の話をなかったことにしたいのだろう、それでもいい





側にいれるなら…












『杉下さ…官房長官!』



駐車場へ向かうと官房長と杉下さん、なんだかもめ事…?のような雰囲気だ



小『ひさしぶりだね』


『お久しぶりです』


杉『官房長』


小『もういいよね』





穏やかに見えて強い言い方に少し衝突があったのだろうと考える





『…』





官房長官のテープレコーダー、部下がかばってるんですけど部下凄くないですか?そこまで尽くせるんですもの
どうやって調教しました?






あ、れ





『官房長…逃げて』


小『…?名無しさんさん何か言った?』


『ぅ……』


神『あれ?名無しさんさん?』


杉『…?』








逃げて




?『ぉおい!!』


小『…!?』


『官房長っ!!』


?『うあ゛ぁぁあああ!!!!』






























『官房長!!!!!』


小『!!?』










ヅッッ…












鈍い音がした











『ぅ…ぁ』





腹部が熱い



痛みは感じない












杉『名無しさんさんっ!!!』


神『!!?』


犯『どけぇっ!!』


小『ッ!!!!』






朦朧とする意識の中





涙が流れる










杉『名無しさんさん!しっかりしてください!まだ目を閉じてはいけません!!』


『うきょ…さ』






思い出したよ右京さん、私は幸せものだったね







このまま死んでもいいや




『かんぼ…ちょ……』






官房長官死ななくてよかったー


シナリオかえちゃったなーははは(笑)










『(伊丹さん…)』






最期にもう一度だけ会いたかったな




愛してると告げたいの


貴方のことをこんなにも深く愛していたと呆れられるくらい伝えたい










杉『名無しさんさんっっ!!!』










もう遅いか















































伊丹視点














伊『先生っ!!名無しさんは!!?』


医『手術は一応成功しましたが……内臓の損傷が激しいので最悪の場合も想定したほうが…』


伊『……』


芹『せんぱ…』


三『芹沢』




声をかけようとした芹沢の肩をたたき無言で部屋をでていった三浦たち






医『今は麻酔で眠っていますが面会は可能です』


伊『…』










おぼつかない足をしっかりさせ病室のドアをあける







伊『…』


『…』




なんでお前はここで寝てるんだ…?




伊『…』




そっと頬に手を添えると冷たかった




伊『ッ……』






(『誰かが死ぬんです…私その人を守れたらなーって…』)





あの時言った言葉は本当だった


官房長官のことだったのか






伊『……』





言葉がでない




『………』









なんで信じてやれなかった





なんで信じなかったんだ





いつもバカみてぇにまっすぐで一生懸命なあいつをどうして信じなかった





伊『どうして…俺は…』






ゆっくりと椅子に腰掛ける



心拍数の変動にビクビクしながら恋人の冷たい手を握る




伊『頼む…死ぬな…死なないでくれっ』






青白い顔して弱々しく呼吸する姿が痛々しい







俺がこいつから何度も聞き出そうとした話を無理矢理喋らせた


なのにそのあと俺はまったくその話に触れなかった


なかったことにしようとした



あり得ないと思った


あり得るわけがないんだ、こいつは何を言っているんだ



そう思っていた


それでも手放そうとは思えなかった俺はそれでも好きだと思えたからだ



それでも俺なりに愛してたんだ








こいつはそのことにひとつも俺を責めなかった

わかりきったように笑って信用しない俺を咎めず同じようにいつも通りを演じていた
























こんなことになるならもっと素直に愛してやればよかった





      
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