長い夢

□第五話
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『謝らないと』





私が悪い





伊丹さん悪くない、もしかして引き剥がそうとして手を置いてただけかもしれない…たぶん



もし抱き締めたとしても伊丹さんは悪くない





悪くない




けど腹立つ




やっぱり腹立つ!!なんなのあの女!!なんなのよ!!なんなのよーーーーーー!!!!!!






『…はぁ、子どもかあたしは』




テレビで見ていた頃もそういや伊丹さんと女の回を見ては半泣きになりながら怒ってたっけな…



『あれ?どんな内容だっけ…ははっ』





そんなことも忘れてきてるのか




どうしよう、このまま忘れちゃうのかな?どうしよう



どうしようどうしようどうしようどうしよう







『伊丹さんに怒っちゃったよぉ…』






うわあぁぁぁあん!と子どもみたいな泣き方をした

このまま元の世界戻っちゃったらどうなるんだろう

このままもう、あなたに会えなくなったら








『嫌だ…嫌だ!』




ごめんなさい、許してください



まだあなたの側にいたい



あなたの色んな表情を見守りたい
笑顔も、怒った顔も、悲しい顔も、嬉しそうな顔も




それすらも忘れてしまうの?






『どうして思いだせないのよ!!!なんでっ!!私どうしてここにいるの!!なんでなの!?』



一人車の中で泣きわめく


これあたしの車じゃないのにぬらしちゃった…サーセン





『うっ…ひっ…』





伊丹さん好き、大好き




『…』






落ち着いてきた




仕事中だ、何してんだよまったく!クビになりたいのかお前は!




『顔整えよ…ははっ』




















芹『え…!先輩それで追いかけなかったんすか!?』


伊『…あいつ、泣いてた』


芹『どうして追いかけなかったんすか』


伊『途中で見失ったんだよ!あいつがのった車もわかんねぇし…』


芹『名無しさんちゃん、どうしてるんだろ』


伊『…あの被害者は?』


芹『三浦さんが…』


伊『さっさと星あげにいくぞ』


芹『え!!先輩!?名無しさんちゃんは…!』


伊『今俺が何か話たってまた被害者を見てあいつは顔をしかめるだけだろ!』


芹『はー…先輩らしいっすけど』



ガチャっ



『…』


伊『!!』


芹『ぁ…名無しさんちゃっ』


『遅れてすみません!!仕事中に先輩たちより先に休憩とっちゃいましたー!あははは!』


芹『え…』


『よーし!頑張るぞーははは!』


芹『…』


伊『………聞き込みいった時の様子と監視カメラの様子照らし合わせるぞ』


『はい!』


芹『(ぇ…ぇ?)』






そんなこんなで色々あって事件は解決!!
あれ?杉下さんたちこなかったなー、興味ない事件だったかなー?ははは



はははは









はは









は…








『………』


伊『ちょっとこっちこい』


『は…はい』


伊『……』




事件も終わり、仕事も終えて帰れるようになった頃…





『(屋上に呼ばれちゃった…)』





告白ターーイム!ってなんつって!





…しょーもなっ





伊『…』


『…』


伊『あのよ』


『伊丹さん…ごめんなさい』


伊『!』


『私が勝手にヤキモチ妬いちゃっただけです、伊丹さんに酷いこと言ってごめんなさい…』


伊『謝るな』


『…』


伊『謝るべきは俺のほうだ』


『…』


伊『あのとき、被害者を抱き締め返したのは真実だ』


『…』


伊『けど、もちろんお前のこと考えなかったわけじゃねぇしなにより気持ちが違う』


『気持ち…?』


伊『被害者に対しては同情心だ、お前には同情なんてしねぇよ…いつだって愛情のつもりだ』


『!』


伊『だからだな…その、俺が言いてぇのは』


『…』


伊『お前のことは、ちゃんと好きだから…………………もう言わねぇからなっ!』


『伊丹さ…ん』


伊『なんだよ』


『ごめ…なさぃ…うわぁぁぁあん』


伊『おっと…!』






伊丹さんに抱き付いて私はまた泣いてしまった




優しいよ




本当に優しい





伊『好きって伝えたんだからごめんで返すなよ、ばかやろー』


『ぅっ…ひっ……すき………だい好き』


伊『ぉぅ…』


『好き…私も、好き!……』


伊『知ってる』





そういって私を強く抱き締めてくれた



さっきの言葉がよみがえる


(伊『お前にはいつだって愛情のつもりだ!』)



本当なんだよね…



私のこと本気で好きだって…言ってくれたんだよね?





『伊丹さん…』




暖かい…このまま寝たいくらい




気持ちいい





ずっとこのままでいたいな…







伊『なぁ…』


『はーぃ?』


伊『さっき仕事中はこの話題に触れなかったのはなんでだ?』


『たぶんね、それは伊丹さんと同じ考えだよ』


伊『そうか…お前もだいぶ刑事らしくなったな』


『ふふ…ねぇー伊丹さん』


伊『ん?』


『……なんでもない』







ずっと側にいたいな






ずっと









ずっと…












芹『…で?』


『それでそれでもーー!!ちょーーー幸せなんです!!』


芹『俺心配したんだよ!?もう二人とも勝手にやってろ状態じゃん!』


『えっへへへ』


三『よかったなぁ』


『えへへへへ三浦さん、芹沢先輩ご迷惑かけました』


芹『ていうか、なんで仕事中は一切触れなかったの?』


『そりゃあ…刑事としてプライベートと仕事はわけるべきかなって、それに伊丹さんも私事よりも事件優先しそうでしたから』


芹『なるほど…偉い!』


『えへへ』


三『伊丹らしいよな…そういうのわかってあげれるのも嬢ちゃんくらいかもな』


芹『俺の彼女も名無しさんちゃんみたいに物分かりよかったらなー』


『よくないんですか?』


芹『いや、そういうわけじゃないけどさ 仕事上やっぱりドタキャン多いからもう知らないっ!!って言われること多くてさ』


『あー…まぁそうはなりますけど、それは私はまだ一緒に仕事してるからあれですけど別々ならそうなると思います』


芹『だよねぇ…またドタキャンになったらどうしよー』


『先輩なら大丈夫ですよ!』







たわいもない話







角『よっ!今日は特命いないよ?』


『あ、いえ今日は角田課長たちと喋りたくて』


角『え!いいの?いや実はさー…カミさんがね?』


『あはは』





たわいもない会話







伊『ほーれ、仕事だ仕事』


『ひゃー!』


芹『うわっ…』


伊『俺だって面倒だっての』







いつもの仕事場







杉『つまり○○が…○○○だったと』


米『えぇ、それでこちらが』


『わ!右京さん!…もしかして○○事件の?』


神『その通り、今米沢さんに聞いてるところだけど』


『?…あぁ、大丈夫です!伊丹さんたちには内緒で…資料もあとでこっそりと』


杉『助かります…』


『いつものお礼ですから…』


神『ねぇ、あのさちょっといい?』


『…ごめんなさい、今は忙しいです!』


神『俺のこと、避けてない?』


『気のせいです、まぶしいだけです』


神『まぶしい…?』


『ふふっ、では』






毎日少しずつの変化だけで似たような生活が続いた


それでも毎日が刺激的で楽しい


少しドジって容赦なく怒られた日だってなんだって楽しい日々だった






『…』
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