長い夢

□第十話(最終話)
2ページ/3ページ











あれから一週間





芹『…先輩、仕事休んでもいいんすよ?ほら!先輩有給余って…』


伊『うるせぇよ…』


三『伊丹、芹沢にあたるな』


伊『…』


芹『まだ目覚まさないんだ…名無しさんちゃん』


伊『あぁ、ピクリとも動かねぇ…』


三『両親には連絡したか?』


伊『あぁ…母親しかいねぇから母親に…泣かれちまった』


芹『…』


伊『父親が死んでから一人で娘育てたんだとよ…』


三『色々あったろうな…』


伊『でも俺を責めるわけでもなく任せるって言われてよ…まいちまったよ、あいつは母親似だな』




















伊『…面会あと数分しかねぇな』





思ったより長引いた仕事に苛つきながら病室のドアをあける





『は…?』



昨日までここで寝てたよな…?



伊『ネームプレートもねぇ…!』






なんでいないんだよ


他の病室か!?聞いてねぇぞ?





退院…






なわけねぇか


まだ目すら覚ませてなかったってのに




伊『……』







まさか帰ったのか…?



あいつが元いた世界に






伊『……』





さよならも言わずに




何も伝えられずに







伊『なんだよ…』





ベッドの横に置いてあるパイプイスに力なく座る





伊『…』






俺達何のために出会った?






伊『ばかやろ…』


























看『あのー…』


伊『…あ、はい?』


看『佐々木さんのお子さんですか?』


伊『…はい?』


看『佐々木さん今重病で…MR室にうつされましたよ』


伊『ぇ…いや、あの先日入院した苗字さんは…』


看『苗字さんは容態が安定してきたので○○室へ移しましたよ』


伊『はい?』

























走ってその病室に向かうとネームプレートをみつけた



くそっ!なんだよ言えっての!




いや面会の時間がないって慌てて向かったのは俺か




伊『はぁ…はぁ、い…いる…』




顔を覗くと昨日より顔色を良くしている



『んっ…伊丹さん…?』


伊『…!!』





昨日までピクリとも動かなかった指が動いた

俺の名前を呼んだあとうっすらと目をあけて





『伊丹さん…?どうしました?あれ?ここどこ?』


伊『…名無しさん?』


『いてっ!…うっ…お腹が、なにこれ!?』


伊『おぃ…』


『えー!またなんか事故ったんですか私!?』


伊『…』


『いたた…』


伊『…』




ガバッ!!




『きゃぁっ!!//い、伊丹さん!?ちょっ!///』


伊『よかった…』


『…私、そんなに寝てました?』


伊『あぁ…寝てたな、だいぶ寝てた…』


『わぁー…そうなんですかー…実感ないなー…伊丹さん?どうしたんですか?』


伊『ん…なんでもねぇよ、ちょっと目が痛いだけだ』


『そうですかー…あ!!』


伊『?』


『は、離れてください!何日も寝てたってことは何日もお風呂入ってないんですよね!?ってことは…!ぎゃー汗臭いんで近づいちゃだめです!』



伊『…』


『あーでも寝顔…すっぴんも見られたし!あーもぅ!誰よ私に入院させたのー!』


伊『…フッ』


『伊丹さん…?』


伊『ははっ…』


『伊丹さんちょっと笑顔怪しいですよ…(笑)』


伊『うるせぇよ…ばかやろ』


『ふふっ…いてっ』


伊『おっと、大丈夫か?』


『うー…お腹が、痛いなんじゃこりゃあ!って感じです…』


伊『太○に吠えろかよ』


『ん゛んー…』


伊『今他の奴らと看護婦呼んでやるから待ってろ』


『はーい』


伊『ぁ…』


『?』


伊『なぁ名無しさん…』


『はい?』




耳元に顔を寄せわざと低く囁く



伊『愛してる』


『……ぇっ/////』







ぶわぁっと顔を赤くしてる姿に安心しつつからかうように笑ってやった




『も、もう一回!』


伊『やなこった』


『えぇーーー!!そんな!』








































芹『退院おめでとーーー!!!』


『わーーい!ありがとうございます!』


母『あんたはもぉー人の心配ばっかりかけてもぉー!すみませんみなさん』


杉『いえいえ、こちらこそ娘さんにはよくお世話になっていたものでして』


神『はいこれ、退院祝い!大河内さんからもだって(笑)』


『わっ!わっ!すごい!ありがとう神戸さん!』


小『退院おめでとう』


『わっ!官房長官!』


芹『ぇ…!』


小『なかなかお見舞いにこれなくてごめんね』


『官房長…』


小『ありがとうね、君は僕の命の恩人だから…困ったことがあればなんでも言ってね?』


『は、はい…』



ぎゅっと手を握られなんとなく照れてしまう



小『僕は急がしいからそろそろ行くけど…今度ちゃんとお礼はさせてもらいますよ』


『は、はい!』



車にのってっちゃった…


みんな官房長官がきて少し緊張感が漂ったもののすぐに私の話題に戻る




三『そうそう、仕事場の奴らも待ってたぞ』


『えへへ…久し振りだなぁ早くみんなに会いたい』


芹『あれ?先輩は?』


『後で会う約束してるんです♪』


母『その前にあんたもう病人じゃないから家帰ったら説教ね』


『え』


芹『ははは(笑)がんばってねー』


『え、えぇ〜!』

























『あー怖かった!久々に食らったなお母さんの拳骨』




そんなに心配させるようなことしたんだよな…




『それにしても…覚えてないなぁ』



官房長官を庇ったって言われても実感がない、記憶も曖昧



『だいたい私が予知してたとかなんとか右京さんいつも不思議なこというなー(笑)』





とりあえずなーんか頭スッキリ!






『早くダーリンの元へ行かなくちゃ♪』















ピンポーンと伊丹さんの家のインターホンを押す






『伊丹さん…!』


伊『!…まぁ入れ』


『はい!』




呼ばれていたのは伊丹さんの部屋



なんか照れるな…こんな感じなんだ





『わー…結構きれ』




ぎゅっ




『!っ…//』


伊『名無しさん…』


『伊丹さん…』




ひ、ひゃぁぁあ!!いきなりですかぁ!!
いきなり背中から抱き締めるんですかぁ!


ありがとうございます!!!←




伊『ちょっと…痩せたな』


『あ、うん…でもちょっと嬉しい(笑)』


伊『馬鹿いってんじゃねぇ』


『はいすみません…』






お互い笑いあって話をする、私が入院していた間のこととかいっぱい


久し振りだなぁ…






『あはは(笑)』


伊『…』


『伊丹さん?』


伊『大事な話がある』


『ぇ…?』





な、なになに?これプロポー…なわけないか



とかいいつつ期待しちゃう…落ち着け、落ち着けわた






伊『俺はお前が言ってくれたことを信用しなかっただろ?』


『ぇ?なんのこ…』


伊『黙って聞いてろ』


『は、はい』


伊『記憶がねぇらしいけどな、俺はお前がせっかく話したことを疑ってたんだよ…』


『…』


伊『信用するべきだった、それでも俺は…』


『…』


伊『それから俺はその話を聞いてないみてぇな態度をとってた…その話題にならないようにした』


『伊丹さん…』


伊『そのあとお前は刺されて入院、俺はずっと後悔してたんだ…悪かった…覚えてねぇだろうけど謝らせてくれ』


『…伊丹さんが信用しなかったってことはよっぽどのことだったんでしょ?』


伊『…』


『伊丹さんなりに私のこと考えてくれてたと思うし…全然いいよ!』




なんとなくしゅんとしてる伊丹さんが可愛…んんっ、可哀想で慰める




伊『…』


『ゎゎわ!///』



今度は前からぎゅーーっと抱き締められた


え、え、なに!?
か、可愛い!!



甘えた!?甘えたなの!?





『伊丹さん…』


伊『仕事続けんのか?』


『もちろん』


伊『また入院するかもしんねぇぞ?』


『だって伊丹さんの側にいたいし…あ、いや仕事も好きだからねっ!』


伊『いっそ結婚でもしちまうか』


『へ』


伊『…』






私の顔も今あり得ないくらい赤いだろうけどそれよりも言った本人が一番赤かった



伊『…』


『ぇと、ぇと///…』




うわばばばばて、照れる照れるていうか自然すぎてプロポーズか悩む




伊『…結婚、するか…?』


『ぁ…ぇ……』


伊『俺はお前となら結婚したいと思ってる』


『!!』




い、伊丹さん…




伊『俺の妻になってくれ…いや、なってください』




















『はい』














  
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ