□可愛い人
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『うるせぇ!!』


誰かの大きな声が廊下に響き渡る
私は行く先へ向かうため前進するとその声の主が見えてきた




『(ん?伊丹先輩?)』


伊『ほっとけっつってんだろ!』


亀『こっちだって別にどうでもいいがお前がアホだから言ってやったまでだろうがよ!』


伊『んだと!!』


どうやら伊丹先輩と亀山さんがいつもの(痴話?)喧嘩をしているようだ
話かけようと近寄ったその時


伊『俺はだなぁ!アイツのことなんざなんとも思っちゃいねぇからな!』


そう告げる伊丹先輩の言葉に思わず足を止めてしまった


亀『だったらなおさらだろ!! 名無しちゃんに思わせぶりな態度しやがってこのタタミ!』


私....?



伊『別にそんなつもりなんざ....』


亀『あ..! 名無し...ちゃん?;; 』


亀山さんが私に気づいたようでこちらを見てはばつの悪そうな顔をする


伊『あ?そんなこと言ったってひっかかんねぇぞ!』


亀『いゃ、後ろ後ろ...』


伊『あ?.....!!』


伊丹先輩はひどく驚いたようで目を丸くし驚いたリアクションをしたあと亀山先輩と同じようにばつの悪そうな顔をした


亀『あのー... 名無しちゃん、いつのまに』


『うるせぇ!って台詞か向こうで聞こえたので気になってきてみたんです』


伊『.......』


伊丹先輩は黙ったまま亀山さんを無視しそのまま帰ってしまった


『あ、先輩!』

そう呼びかけたものの彼は無言で一課のほうへ向かっていった


亀『あ〜; 名無しちゃんごめん! 』


『へ?なんでですか?』


亀『いやー...伊丹があまりにも素直じゃねぇからつい...』


『大丈夫ですよ むしろチャンスができました』

亀『え?』


『ではまた!私伊丹先輩追いかけていきますんで!』


困惑した亀山さんにそう告げると走って先ほど一課に向かった先輩に追いつき話しかける


『先輩!』


次は無視できないよう先輩の前にでて話しかけた


伊『.....んだよ』


『さっきの事ですけど』


伊『......』


あぁ、駄目だ
少し意地悪したくなる。
強張った顔をしていつにも増して怖い顔をする先輩
周りから見れば私に対して怒りを覚えてるのかと勘違いしてしまう

伊丹先輩を知らない人であればここで泣いてしまうかもしれない

でも私は伊丹先輩が好きだからこそ彼を見てきた、当初はずっと怒っている人だと勘違いしていたが
今ならわかる、いやむしろわかりやすいとすら思える

『本心じゃないって解釈していいですか?』


伊『....は?』


我ながらはっきり言い過ぎた、でも私には伊丹先輩のさっきの言葉が本心とは思えない

売り言葉に買い言葉

そういうのがぴったりだった
この考えが間違いならとんだ妄想女だ


『なんであんな風になったのかはわかりませんがなんとなく伊丹先輩勢いでいった気がして...』


伊『根拠は?』


おずおずと不思議そうな顔をして私に質問する先輩


『乙女の勘!』


伊『なんだそれ』


あきれたような顔で失笑する伊丹先輩


『と...』



伊『と?』



『好きな人のことだからわかったんです』




伊『..........』

しばしの沈黙の後伊丹先輩は無言で私を誰もいない資料室に連れ込んだ


『せ、先輩?』


さすがに予想外だった、てっきりあの場で答えが聞けるものだと


伊『...な』


『え?』


伊『あんな人が大勢いるところで//そんなこといきなり、言うなよ!////』
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