夢2

□男らしいあなた
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タッタッタッタッタッ


『はぁ……はぁ…』




ジャリッジャリッ





ガチャッ!



『はぁっ……!!』



警察『どうしました!?』



『お巡りさ……すいませっ、男の人が追いかけてきて………はぁ…』



警察『大丈夫ですか!その男は…』



『もう、いないみたい…すみません知人に連絡して迎えてもらいます』



警察『ずいぶんテキパキして…』



『一応これでも刑事ですから!』

















































内村『交番の警察から聞き付けた時は冷や汗をかいたぞ、心当たりはあるのか』



『それがまったく…ですがとにかく証拠がない以上警察が動けないことはわかってますから、すぐに動けるよう対処はしています』



内村『最悪の場合に成らないよう頼んだぞ』



中園『ストーカーに警察が対処できなかったとなれば事は自分の不始末だけではすまないからな』



『はい』











































芹『ちょっとちょっと!聞いたよ〜!!大丈夫!?』



『芹沢先輩、もう噂なんですか?(笑)大丈夫ですよ』



三『これ持ってるか?』





各々心配してる人たちは私を気遣い防犯ブザーを渡したり相談に乗ってくれたりとしてくれる





『大丈夫ですよ!今更か弱い乙女になる気なんてないですし』



芹『でもストーカーってヘタしたら…仕事場にいた方が安全なのはわかるけどここで寝泊まりしたらいいのに』



『家に帰ってやらないといけないことがありますし…それに負けみたいで嫌なんで』



伊『おーおー、お前みたいなブスにストーカーするなんざ物好きもいたもんだなぁ』





しかし、この男だけはまったく心配した様子はなかった





『そうですね〜物好きですよねぇ?』イラッ



伊『きっと犯人はB専だなB専』



三『…;』



伊『もしくはお前の思い過ごしなんじゃねぇの?』



『ちょっとなんなんですか!!ほんっとデリカシーない!だからモテないんですよあなたは!』




伊『それとこれとは関係ねぇよ!』



『あー…そうでしたねぇ?顔が原因でしたかぁ〜?』



伊『か、顔?チッ』







ふんっ、と鼻をならして仕事へ戻る

毎回毎回何かにつけては私にこうして嫌みを言ってくる






『なんなんですかあの人』



芹『えーっと、先輩なりの心配?』



『心配?』



芹『心配…』



『心配ねぇ?』



三『心配だと、思うぞ?』



芹『……うん;』



『はぁ…;』










一体彼は何がしたいのか、仕事の先輩としては呆れることもあれば尊敬する面もあるが





『(大方女の私がここにいるのが気にくわないんでしょうね、生意気だし)』






今はそんなことを考えている場合じゃないか




仕事にも集中して……帰りはどうしよう、タクシーは時間帯的に難しいしある程度私だって護身術ぐらいはある


捕まえるか、もしくは部屋から覗かれることがあればカメラでおさめなければ


























































『……そろそろ帰らないと、あれ?』






仕事から戻りデスクを見ると珈琲がおいてあった





『(誰かが気を使ってくれたのかしら?)』






誰かがくれた珈琲を飲み仕事もまとまったところで私は帰ることにした

一応早めに帰してくれるようには配慮してくれたようだ











『ん?』



伊『……よぉ』



『どーも』



伊『待てよっ』



『え?』






私の肩に手をおいてひきとめる


もしかして…






伊『その…』



『…』



伊『やっぱお前可愛いくねぇな』



『失礼します』



伊『ま、待てって!』



『あなたなんてだいっきらいよ!!話しかけてこないで!!』














ダッシュで伊丹さんを抜け出して家に帰る

こっちが心身弱ってる時に最低よあんな人!






『毎回私のこと嫌みばっかりきっと更年期障害だわ』








苛々しながら歩くといつもの通路にでた







カツッ…カツッ…




『…!』




一定の歩き方、歩幅をあわせてきている

恐る恐る後ろを見るも誰もいない








『…え?』





おかしい、音はする





『……』





音の方向に近づくとだんだん大きく聞こえてきた





『あぁ!!しまっ』




ガンッ!!!!





『きゃああぁっ!!!』






背中から激痛が走る、私が聞こえた足音は録音テープの音だった





『く…』







完全にはめられた、おとりを使われるなんて







『あなた、一体誰な…!!』





キッとにらみつけながら後ろを振り向くと黒い格好に身を包んだ男が私に迫っていた





『ぇ…』





今まで聞いていた足音から若い男だと勝手に想像してしまっていたせいか男の見た目に思わずひるでしまった





『(思ったより年配?いや、それよりも…ホームレス?)』



男『ブツ………ブツ………』






何か私に言っているが上手く聞き取れない





『(ぁ…駄目だ、どうしよう…)』






怖い






『ひっ……ぁ…』






完全に腰を抜かしてしまった、刑事でもやっぱり私は女だから




男『……』



『こ、来ないで…』





男は怯える私に満足そうに笑った


その顔の不愉快さと不気味さに背筋が凍る





『助けて………だれか………』






徐々に伸びてくる男の手を見つめながら走馬灯のように頭の中に思いが駆け巡った







『(あのとき伊丹さんに自分から送り向かい頼めばよかった)』







もっと素直になればよかった……






















伊『何してんだオラァッ!!!』



男『!!!』



『!』





ガツンッ!!と大きな音がきこえた


その音とともに男が倒れて頭を痛そうにかかえた






伊『てめぇっ!!まてこのやろう!!』





逃げようとする男の首根っこをつかんで後ろに倒す





伊『ストーカー容疑、婦女暴行で逮捕だ!!』



『…』





どうして伊丹さんが?





伊『だ、大丈夫か!!』



『ぁ…うん』



伊『せ、世話……やか、焼かせ……ぜぇ、ぜぇ…じゃねぇよ、たく…』






格好いい台詞を言ってるつもりなんだろえけどぜーぜーとすごい息切れで何を話してるかわからない




伊『おま…足早いんだよ、くそっ…』



『…』







私を必死に追いかけてきてくれたの?








伊『こうなるかもしれねぇって、わかってるんだから意地なんかはってねぇで守ってもらえよ!!ぼけ!』



『……』



伊『なんかあってからじゃなぁ!……心配したんだぞ』



『うっ………うわぁぁん!』



伊『ぅぉっ!…//』





思わず彼を抱きついた、仕事柄涙なんて見せなかったのに


しかもさっきまで嫌いだと告げた相手なのに





『こわ、怖かった…うわぁぁ!』



伊『……もう大丈夫だ、俺がついてる』



『ひっ…ぅ…っ』



伊『…』






恐る恐る彼が私を抱き締めた、この手に私は守られたんだ





伊『名無しさん……俺…』



『……伊丹、さん?』



伊『俺は、お前のこと…』





芹『あのー…』



三『とりあえず、犯人回収していいか?』



伊『お、お前ら!!なんで』



芹『なんでって、呼び出しコールしたの先輩じゃないっすか!』



伊『あ』



三『あわてて飛び出して何事かと思ったが、やっぱり心配してたんだな』



芹『いやー愛っすね』



伊『か、からかうんじゃねぇよ!!』



『…』



伊『お前もなんか……おい?』



芹『気絶してる?……やっぱり怖くて眠れなかったんだろうなぁ』











































あれからなんとかなったものの、変わったことが一つある








『…!』



伊『…よぉ』




お互いを意識しあってしまうようになっていた







病院で軽く点滴と殴打を受けた場所の治療をしてもらい病室をでると伊丹さんが待っていた





伊『お、お前よかったなー!石頭でよ!はは、ははは』



『……』



伊『……』



『…よいしょっ』



伊『!』



『伊丹さん…』



伊『おう』



『……送ってくれませんか、これから』



伊『おう』



『あと珈琲奢ります』



伊『いいよ別に』



『デスクにおいてあったの、伊丹さんですよね?』



伊『……』



『伊丹さん、今日は本当にありがとうございました』



伊『……』



『私……あなたのこと好』



伊『待て』



『!』



伊『助けてもらって、だったらなんか…吊り橋効果とかいうしな?とりあえずしばらくして落ち着いてから』



『謙虚なんて、あなたらしくない…私は前からあなたのこと好きですから…いつも意地悪ばかりだったけど』




ちゅっ




伊『っ!!!///』



『これからも守ってくださいね』



伊『さっきまで怖かった〜って泣いてた健気さはどこいったんだよっ』



『そ、そんな変な声だしてません!!』



伊『いーや、だしてた!』



『誰がよっ、意地悪!』



伊『へっ』



『可愛いくない人!』



伊『可愛いのはお前だけで十分なんだよ』



『!!!?』




















芹『なんか、先輩らしいんすけどお互い素直なのか素直じゃないのか』



三『あいつらが幸せならいいさ』













[完]





 
 

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