悪魔狩人の幻想入り
□Mission2 紅の館に眠るもの
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最悪だ。魔力の幕なんぞ張らなきゃよかった。で、いまの俺は、
「縄ぐらいは解いてくんねえかな?」
と、縄で簀巻きにされてしまっている。
「さっさと歩きなさい。」
なんつう無愛想。名前もわかんねえ。
「なあ、どっかであったことなかったか?」
前から思ってた疑問を口に出す。が、
「いつの時代の口説き文句かしら?いい度胸してるわね?」
全然効果がないな、むしろ逆効果じゃねえか・・・
「ここがお嬢様の部屋よ。さっさと入りなさい。」
「おお、怖いねえ。」
ガチャ、
「お嬢様、侵入者をとらえました。」
「ご苦労様。」
え?これがお嬢様?蝙蝠の羽があることを除けばただの幼女なんだが?
でもあの羽と長い牙と爪・・・
「あんた、吸血鬼か?」
「あら、よくわかったわね。私はレミリア・スカーレット。誇り高きツェペシュの末裔よ。名乗りなさい、油断で捕まった間抜けさん。」
・・・いってくれんじゃねえか。じゃあこっちもあちらに習って、
「俺はアレン。誇り高き魔剣士スパーダ、ダンテの血を継ぐものだ。」
といってやった。しかし反応を示したのはレミリアではなく、
「アレン!?」
後ろにいたメイドさんだった。
「あら咲夜、知り合いかしら?」
咲夜?そんな名前の知り合いはいないんだが?というかスパーダの名前はここには伝わってないのか?
なら、尚更あいつがわからなくなってきた・・・
「ええ、小さい頃にちょっと。」
ええ?そんなことあったっけ?
「覚えてないかしら?8年位前によく遊んだ女の子を。」
ん〜?そういえばそんな子がいたような。もしかして、
「ああ!名無しの姉ちゃん!?」
回想
8年前、とある公園
「お姉ちゃん何してるの?」
「え?ただ空を見てるだけよ。」
「へえ〜僕アレン!お姉ちゃんの名前は何て言うの?」
「私?私に名前はないの。」
「じゃあ名無しの姉ちゃんでいい?」
「え、ええ。」
二人共珍しい銀髪ということもあり、次第に打ち解けた二人は色んなことをして遊ぶようになった。
数週間後〜
「お姉ちゃん!また遊ぼうね〜!」
「ええ、また遊びましょうね。」
しかしこの日以降彼女がここに来ることはなかった。彼女はアレンと遊んだ後、自身の使命を果たそうとして返り討ちにあったのだ。そしてそのまま彼女はその館のメイド長として働くことになったのだった。