番外編〜もしもアレンがサーヴァントなら

□序章〜狩人(ハンター)のサーヴァント
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日本のとある都市である冬木市。

いまここでは、魔術師たちによる万能の願望機─聖杯─をかけた争いが起きようとしていた。

──世界の恒久的平和を望むもの

──根源への到達を目指すもの

──自らの誇りのために戦うもの

──自らの力を示さんとするもの

──自らの芸術を共に究めんとするもの

──空虚な自己を満たす物を探すもの

──思い人の娘のために戦うもの

それぞれの思惑が重なる中でzeroに至る物語が始まる・・・


召喚当日────間桐家

「さぁ、雁夜よ。召喚を始めるが良い。せっかく良い触媒を見繕ったのだ。せいぜい強いサーヴァントを呼び出すが良い。」
間桐家の当主 間桐臓硯が息子である雁夜に言う。とはいっても彼自身、雁夜には期待していない。ただ、彼が苦しむのを見たいだけなのである。

しかし、雁夜にも譲れないものはある。

「(待ってろよ・・・!!桜・・・!)」

想い人の娘をこの地獄(蟲蔵)から救い出すために、元々家出していた彼は無理な魔術鍛錬のために半死半生となった身でこの戦いに挑む。

詠唱を始める。少しずつ周囲の魔力が高まっていく。

「────告げる
汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に!
聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ!」

彼の体に埋め込まれた刻印虫が暴れだす。これが彼の魔力源であり、彼を苦しめる元でもある。血管から血を流しながら彼は詠唱を続ける。

「誓いを、ここに!
我は常世全ての善となるもの!
我は常世全ての悪を敷くもの!
されど汝はその眼を混沌に曇らせ侍るべし!汝は狂乱の檻に囚われしもの、我はその鎖を、手繰るもの──!
汝三大の言霊を纏いし七天!
抑止の輪より来たれ!天秤の守り手よ────!」

魔力の暴風が吹き荒れる。

ごっそりと消えた魔力から雁夜は激痛に耐えながらも召喚の成功を感じた。

今回の詠唱ではある二小節を足したため、必ず狂戦士(バーサーカー)のサーヴァントが召喚されるはずである。

しかし、ここで何を間違えたのか、

「Hmm・・・あんたが俺を呼んだマスターってやつか?」

現れたのは、黒のコートに身を包んだ狩人だった。
 

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