闇の皇太子

□キライ……じゃない
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『…………………ッ!!』

びくっと尋常じゃないほど驚いた天音に四人は注目した

ガタガタと震え顔色を悪くする天音は瞬きすら忘れて一点を凝視していた

「どうした、天音?」

「大丈夫か!?」

「なんだい、面白いものでもあった?」

「おいおい、大丈夫かー?」

天音は返事もせず口元を手で覆い悲鳴を押し殺す

《ゆっくり解剖してあげよう、、》

老いた教授の一人を天音は知っていた

前世で麻酔なしで天音を解剖し天音を死亡させた男

地獄のような思いが思い出したかのように噴き出し背を丸める

その時気付かなかった、教授が天音を見ていたことを

********************

結局何一つ聞けずに終わった

后たちに申し訳ないと思いながらも天音は終わるなりトイレに向かって吐いた

胃がきゅう、と締め付けられたかのように辛い

口をゆすいでひどい顔色のままトイレを出て后たちの元に帰ろうとしていたその時不穏な風が吹き反射的に体をひねると突如として現れた闇鬼が天音に襲いかかってきていた

『ん……』

手に霊力を集め炎として権限させると炎を放ち闇鬼を滅した

「全く、苦労して捕まえた強い闇鬼だというのに」

粘着質なその声に天音はびくっと体を震わせた

「相変わらずのようだな、またあのときのように解剖させてくれないかね」

『ひっ』

闇鬼を従わせて現れた教授に天音は怖気ついた

「見た目も美しかったが内臓も美しかった……、もう一度この老いぼれに見せてはくれないかね」

ガタガタと体が震えていた天音はふいに体の震えが止まった

がくんと力が抜けたように首が下がりじっと動かなくなった

刹那

ごおぉぉぉぉ

青白い炎があたりに突然噴き出した

「なんだ!?」

慌てる教授は闇鬼を使って身を守ろうとしたが炎によって一瞬にして滅せられてしまった

『死ね』

炎が教授を燃やそうとしたその時、赤い炎がぶつかり相殺されたのだ

「なにやってんの!?」

天音を背後から捕まえた華が焦っていた

『……い、の』

「え?」

『怖……いの、あの男がッ!!』

霊力が爆発し華もふっとばされた

『怖いから、殺す。殺せばもう、大丈夫だから』

ゆらゆらと手を上げて狙いを定める

今度は華でも相殺できないように強い炎をぶつけるつもりだ

だが

「天音!」

華が抱きしめてきたのだ

『どいて……』

「退かない、君が炎を押さえるまで」

きつくきつく抱きすくめる華に天音は目を見張った
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