闇の皇太子

□麗しの貴女へ
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『はい?』

「おまえはまだその仕事を始めて間もないんだ。水着はまだ早い」

『あのちょっと意味がわからないんですが』

全くもってその通りだ

話している霧砂自身自分が何を言っているのかわからない

「とにかく、断れ。仕事に情熱を持たないおまえが受けるべきものではない」

すると 天音の目が丸くなり途端に上目使いで睨まれる

これはこれで、可愛いと場違いにも霧砂は思ったがもちろん黙っている

『もう、霧砂さんなんて知りませんッ!』


「……………ということだ」

「おまえが全面的に悪い」

鬼火がずばり断言する

「そもそも、水着の仕事をさせたくないと言ってやれば丸くおさまった話ではないのか?」

霧砂は視線を逸らした

鬼火の言う通り 天音の白い肌が多くの人々の目にさらされると思うだけで見た連中全員を呪い殺したくなる

できれば監禁して一生自分だけが彼女を見ることができれば、とさえ心の奥で思う霧砂である

思うだけで実行はしないが

するとそこに【Zex】の4人がやって来た

「あ、霧砂さんお疲れ様でーす」

「ああ、お疲れ様」

にこやかに返すとイケメンモードの貴樹が口を開いた

「そういえばさっき、 天音を見たけど行かなくていいのか?」

普段からずっとこれならいいのにと思っていた霧砂は思わず目を瞬かせた

「そーそー、さっき他の事務所の俳優に話しかけられてたよな」

「ちょっと今売れてるヤツな」

「………いいのか、霧砂」

鬼火がこそっと耳打ちしてくる

いいわけがない

「教えてくれてありがとう。ちょっと様子を見てくるよ」

霧砂は足早にその場を後にした
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