K

□夏祭り
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「ねぇねぇ!さっきの人たちと祈李ってどういう関係!?」

美奈がかき氷を食べながら嬉々として尋ねてくる

『……お友達』

うん、間違いではないだろう

「大学生の?」

隣にきた男子に尋ねられ祈李は首を振る

『いいえ、セプター4の隊員さんです』

「えッ」

「アンタ、いつからそんな人たちとお知り合いになってんのよ」

『いろいろあるんだよ、真琴』

しうこうしているうちに皆がかき氷を食べ終わり再び歩き出し、花火が見えるポイントに移動した

「そろそろ、花火があがるね」

『そうですね』

真琴を連れてどうやってこの場から逃げようかと考えている祈李の肩を男子がそっと抱き締める

「俺、君に一目惚れしちゃったんだ。花火があがっても一緒にいてくれないかな?」

背筋がぞっとし、振り払ったその時

「い、嫌です!」

真琴が悲鳴をあげた

「いいじゃん、真琴ちゃん」

「嫌だって言ってるでしょ」

もう一度祈李に手を伸ばす男子の手を今度は本気で振り払い真琴に近づく

『真琴、美奈、行きましょう』

さすがの美奈も状況に気付きうなづいてくれた

「恥ずかしがらなくてもいいじゃん」

ジリジリと近づいてくる男子たちに祈李の目がすっと細くなり拳を握りしめたその時

「嫌がってるだろ、その子達」

「無理やり、はよくないよねぇ」

『千歳さん!出羽さん!』

振り向くと二人だけではなく吠舞羅の主要メンバーが勢ぞろいで祈李は驚く

「穴場スポットに来たらこんなことになってんねんもん、びっくりしたわ」

「祈李とお友達、ケガない?」

草薙と十束がにこやかに尋ねてくる

『大丈夫ですよ、っと』

足もとにアンナが飛びついてくる

「心配、した……」

『ごめん、アンナ』

本当は一撃で沈める予定だったんだよ?とは言えずアンナの髪を撫でた

「ちょっ、な、なんで吠舞羅がこんな女に……?」

「なんでて、祈李はうちの子同然やから……なぁ、尊」

周防が面倒臭そうに出てくる

『周防さん』

愛しい人の登場に胸が高鳴る

――私の王様だ

声をかけると一瞥されたがすぐ縮こまっている男子三人を睨む

「失せろ」

「は、はいぃぃぃぃぃ!!」

かわいそうなくらい怯えて逃げていく三人を見送ると周防は祈李に抱きつくアンナの襟首をつかみ十束に渡す

「来い」

『えっ、ちょっ』

「祈李、お友達は俺らが相手しとくから、ご心配なくー」

『千歳さん、二人に変なことしたらお仕置きですからねッ』

祈李はそう言いながら周防に連行されたのだった
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