K

□決別
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少し時間をつぶしてギリギリで学校に登校した

違和感を感じながらも教室までくるといよいよ不自然さを感じた

その一切を無視して教室に入り席につくといつも一緒にいる友人二人が駆けよってきた

「祈李!!」

勢いよく抱きつかれ衝撃で倒れてしまう

『美奈、どうしたの?』

いつも通りを装って尋ねると美奈は目に涙を浮かべていた

「祈李が、死んじゃったってぇ」

もう一人の友人、真琴を見上げると彼女も神妙な表情でいた

「変な噂が流れてんのよ。アンタが火事に巻き込まれて死んだ、とかころこげになって出てきたとかね」

『珍しいね、真琴が噂を信じるなんて』

「……動画がアップされてたのよ」

真琴は端末を出して祈李に見せた

燃え盛る家の中何かがよろよろ出てくる

それは黒こげの人間

野次馬の悲鳴のせいで黒こげの人間に駆けよるセプター4の隊員が何を言っているのかは聞こえないが祈李を呼んでいるのはなんとなくわかった

(草薙さんに見られなくてよかった)

美奈と真琴に気付かれないようにポケットの中で端末を起動させ伏見にメールを打っておく

彼ならものの数分で出回ったあの動画を消しきるだろう

「こんな黒かったら誰だかわかんないけど……祈李だって、皆言ってるからぁ」

美奈が泣きじゃくりながら私に抱きつく

様子を見ていた生徒たちは複雑そうな表情をして祈李を見ている

まるで祈李が否定するのを待っているかのように

すると担任の女教師が教室に入ってきた

「祈李さん、あの……」

女教師の後から黒いスーツを着た屈強そうな男が数人出てきた

数は五人

「あれほど肌を焼かれていたとは思えんほど回復なされましたな」

美奈を優しく押しのけ立ち上がる

『あの動画、流したのはあなたたちですか?』

「そうですよ、黒の王」

その一言で生徒たちがざわめく

都市伝説の王が目の前にいるのだ、当然の反応だろう

『バックにいるのは父さんですね、ったく、どこまでやれば気が済むんだか』

緊張感のない祈李の袖を真琴が引く

「どういうことよ、祈李」

『ごめん、ちょっと待ってて』

真琴の手をやんわり払い黒スーツの男に近づく

「おっと、それ以上近づくと大事な先生が大変なことになりますよ」

女教師を捕まえて首元にナイフを当てる男に祈李は一切の躊躇もなく電撃を食らわせた

「な…………」

『ごめんなさい、アンタらよりも電気のほうが速かったみたい』

祈李は薄く微笑みその体に電気を纏う

電気を足に溜め、足の筋肉を飛躍的に強化する

刹那しゃべっていた男を除く残り三人を瞬間的に沈めた

黒板に頭からめり込む形になった仲間を見て呆然とする男に祈李はにこりと笑った

『あっけなかったですね』

「あ、ああ」

先ほどまでの威勢はどこへやら一転して怯える男を冷酷に見据えた

『一介の人間風情が王に挑むなんて笑止。身の程を知りなさい』

――と、まぁそれらしいことを言ってみると効果てき面泡を吹いて座り込む男に祈李は一応鳩尾を踏みつけてやった

「祈李……」

生徒たちが畏怖の表情で祈李を見ていた

『ま、そうよね』

苦笑すると真琴が近づくなり祈李の腕を思いっきり掴んだ

「…………………からよ」

『え?』

「いつからッ!王になったのよッ!!」

『6月くらいだったかな』

真琴は肩を震わせていた

「……んで、言ってくれなかったの?」

掴んでいた腕が離れその場に崩れ落ちる

「相談してくれたって、いいじゃない……」

祈李は膝をついて真琴を抱きしめた

『ごめん、巻き込みたくなかったの。私個人の話だから』

真琴は答えない

訪れた静寂を破ったのはセプター4の隊員、日高と秋山、そして道明寺だった

「お待たせして申し訳ありません、姫宮」

日高が祈李の隣まで来て言うと祈李は真琴を離して立ち上がる

「コイツらは俺らがなんとかしますから、ご心配なく」

道明寺が倒れてる男たちを差して告げると祈李はうなづいた

「祈李ッ」

動けずにいる美奈が叫ぶ

美奈と真琴をもう一度ずつ見て微笑んだ

「――バイバイ」

日高と秋山に先導され祈李は教室を後にした
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