K
□光る君
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私は先ほどまで読んでいた本のタイトルと千歳の顔を見て思わず噴き出した
「祈李?」
『違うの、あの……ごめんなさ……』
妙なツボにはまってしまって笑いこける私に千歳は首を傾げている
「な、何?どうしたの?」
私は本を千歳に差し出した
「『源氏物語』?」
『千歳さんが光源氏に似てるなぁって思って……なんかツボりました』
出羽さんあたりが聞いたら呆れられそう、と思っていると千歳はなんとも言えない表情をしていた
「俺、ロリコンでもマザコンでもないんだけど」
『女性に見境ないのは事実でしょう?』
「祟られてないけど」
『女性の恨みは怖いですよ?今は大丈夫でも油断してるとあっという間にやられちゃいますからね』
「子供いないし」
『でも、そのうち子供ができたちゃったから結婚してとかいう女の人出てきそうですよねー』
「…………」
高速言葉のキャッチボールに負けた千歳はがっくりとうなだれた
その様子が可愛らしくてクスクスと笑っていると千歳は眉を寄せた
「姫が御所望となさるなら仕方ない」
そう言って千歳は私の前に跪く
「祈李姫、どうか僕とお付き合いくだ」
セリフ途中だが私は反射的に彼の顔を蹴り上げた