闇の皇太子

□キライ……じゃない
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私は小さな体を丸めて目をきつく閉じていた

耳もふさぎ外界から感覚を遮断する

そうでもしなければ気が狂ってしまいそうだった

我慢していればいつか死がすべてを終わらせてくれる、と死神の訪れを待つ私に一条の光が差し込んだかと思うと温かい手が私をやや強引に引き上げた


「……おい、天音」

男の声で小突かれて天音は目を覚ました

「もう説明会が始まる、そろそろ起きろ」

今度は女の声

顔を上げると両隣りに后と水終がいた

(そうだ、私K大の入試説明会に来てたんだ)

后に誘われ水終、甘雨、瑞宮とともにK大に来ていたのだ

天音自身、大学にこだわりがあるわけではないので適当についてきただけだった

『后くん』

「なんだ?」

『ずっと聞きたかったんだけど、今日は言くんは一緒じゃないんだね』

「ああ、なんか闇皇宮で政務があるとかで役小角につれていかれた」

『瑞宮は一緒にいなくていいの?』

「うん、不本意だけど」

「あはは、たまには幼馴染同士仲良くしろってことだろー」

「甘雨、それだけは絶対違うと断言できるよ」

と言いながら二人の間には険悪な雰囲気が漂い始める

「こんなところで殺しあうなよ!!」

『そうですよ、やるなら結界を張ってからでお願いします』

「いやいやいや!天音、結界張っても駄目だから」

すると呆れるような気配がして視線を動かした

『華……』

相変わらずのダサい姿で后たちのじゃれあいを見上げていた

「K大の学生だからな、いてもおかしくはないだろう」

水終があっさりとした口調で耳打ちしてくる

『そうですね』

そして次々に説明会会場に入ってくる大人たちを見下ろしていた天音は目を見開いた
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