K

□ムカツク
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王なのに威厳がないのがムカツク

強いくせにその力を誇示しないにがムカツク

なんでも見透かしたような目がムカツク

ヘラヘラと誰にでも笑顔を向けるのがムカツク

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晴れ渡った青空の下伏見は部下を連れて街の路地という路地を駆けていた

犯罪を犯したストレインの捕縛のためだ

だが乗り気でない伏見はタイミングを見計らって部下たちから離れストレインが来るであろうと思われる路地に先回りしていた

(チッ、めんどくせ)

足音を殺して足早に進んでいくと「きゃっ」と女の小さな悲鳴が聞こえた

(被害者がでたか)

人質にされるとめんどくさいと思いながら進むとそこにはやはり件のストレインがいた

中年小太りの男は腕の中に華奢な女子学生を抱えていた

見覚えのある女子学生を、祈李をだ

「追いついたッ……って伏見さん!?」

道明寺が伏見を見つけて驚愕するが人質に取られている祈李を見つけてされに驚く

「なんで……ここに姫ッ」

道明寺がしゃべるより早く投擲用のナイフを投げて牽制する

知り合いだとバレたらただでさえ面倒な事態が一層面倒なことになる

「ぶ、武器を捨てろぉ!」

ストレインが半狂乱で叫び隊員たちはサーベルを地面に落とす

「よ、よぉし……じゃあ次は両手を頭で組め」

指示に従っていると祈李が身をよじった

『ちょっとオジサン、離してください』

「おまえは俺の言うことが聞けないのか!」

ストレインは怒鳴るとあろうことか服の上から祈李の胸を鷲掴みにした

「……!」

『な、何す』

「よく見たら可愛い顔してんじゃねぇか」

いやらしい目つきで祈李の顔を舐めまわすように眺めながら胸を掴んだ手を動かしだす

刹那

ストレインの鼻先を赤い炎が焼き、ストレインは悲鳴を上げてのけ反ると長い脚が彼を思い切り蹴飛ばした

「ぐえ」

「おまえ、何しやがった……?」

ナイフを構えて冷酷に見下ろす伏見に隊員たちはストレインの死亡を悟った

「俺の目の前でコイツにセクハラするなんていい度胸だなぁ」

しかしストレインはこの局面でにやりと粘着質な笑みを浮かべたのだ

「あ?」

怒りがさらに募ったその時

「伏見さん!!」
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