K
□淡雪
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始めは、ただの好奇心
それが一転したのは雨の中で壊れかけていたキミを見つけたとき
長い夜を思わせる漆黒の髪
濡れた紅の瞳
惹き付けるような美しい容貌
一回りも年下の彼女に目を奪われた
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――夜
バーテンダーとして草薙が接客をしているとアンナが青い顔をして姿を見せた
「アンナ?」
客がいるときは絶対に姿を見せないアンナの異変に気付き目を瞬かせているとアンナは草薙にすがり付いてその小さな口を開いた
「イズモ、祈李が死んじゃう」
一瞬その言葉の意味がわからなかった
「は?」
かすれた声で聞き返すとアンナは焦った様子で簡潔に告げる
「祈李のお母さんが心中する気なの」
急いで店を閉め、アンナを連れて祈李の家に向かった
そして目の前に飛び込んできたのは赤く燃え盛る大きな屋敷
「……………………祈李ッ!!」
屋敷に向かって草薙が一歩踏み出したそのとき、
「しっかりしなさいッ!死ぬ気なの!?」
聞き覚えのある女性の声に振り向くと青い制服を身にまとった金髪の美女、セプター4副長 淡島世理だった
「世理ちゃん!祈李は!?」
「落ち着きなさい、姫宮は無事よ」
セプター4では室長が祈李のことを姫宮と呼ぶのでセプター4の者は彼女をそう呼ぶことが多い
「ケガ、してるの?」
横にいたアンナが恐る恐る尋ねた
「………心配ないわ、少し煙を吸っでいるだけよ。命に別状はない」
それを聞いて草薙とアンナは安堵する
「一応……立場上のこともあるからセプター4で療養している。明日会いに来るといいわ」
アンナに優しくそう告げると淡島はすぐに苦しい表情になる
「なんか、あったんか?」
「ええ」
淡島は草薙たちから視線を逸らして口を開いた
「姫宮のお父君が、彼女が王権者だと知ったのよ」