K
□相合傘
1ページ/4ページ
一日の授業を終えて友人たちと一緒に靴箱に向かう
「今からどっか遊びに行くー?」などと話しながら靴を履き替えて玄関を出ると雨が降っていた
『雨、降ってるよ』
私がそう言う友人たちは「えー」という声を上げる
「私、一応傘持ってるよ。折りたたみだけど」
「三人じゃきつそうだねぇ」
と考えながら祈李は空を見上げるが止みそうな気配はない
はぁ、とため息をつくとはしゃいだような声がすれ違った
「見て見て、あれ出待ちだよね」
「彼女のお迎え?ヤダ、いいなぁ」
彼女たちの視線は校門に向かっていてそこにはビニール傘をさした男が一人
祈李は思わず目を疑った
半身しか見えないが見覚えのあるキャップで男の正体を察してしまう
「祈李ー?どうしたのぉ?」
『……なんでもない』
私はため息をついて雨の中飛び出した
「ちょっ、アンタどうすんの!?」
『走って帰るよ!じゃあ、また明日ね!』
目を丸くする友人たちに手を振って雨の中駆けだす
校門の前までくると傘をさしていた男の前で足を止めた
「祈李」
ほっとした様子の男、赤城翔平を無視して早足で歩きだす
「えっ!?ちょ、ちょっと待ってよ!」
慌てて追いかけてくる赤城に追いつかれないようなスピードで歩き続ける