K
□Full Moon Night
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ぽっかりと夜空に登った月は黄色の満月だった
ベッドの脇に座ってその月を眺める私の耳には背後から私を抱きしめている恋人の吐息だけが聞こえている
――正直、結構はずかしい
放してほしくて私は意を決した
しっかりと抱きしめるその腕にぞっと手を重ねて身をよじる
『草薙さん』
声をかけると私の肩に顔を埋めていた草薙さんが顔を上げる
『あの、恥ずかしいのでそろそろ放して頂けませんか?』
「嫌や、もう少しだけ個のままでおらして」
『…………気づいてますか?その台詞、もう三回目ですよ』
私がそういうと草薙さんは目を丸くして渋々腕の力を緩めた瞬間、草薙さんの膝の上に座らされた
非常に悲しいことに私は草薙さんよりかなり背が低いので膝の上に座っても視線は彼の方が高い
そんな悲しき事実を噛みしめる私の体をまたまた抱きしめてくる草薙さん
怪訝に思って私は彼の両頬を量的で包みこみ顔を上げさせる
そこには捨てられた子犬のような目をした彼がいた
私はゆっくり草薙さんのサングラスを外したら
『大丈夫ですか?』
そう尋ねると草薙さんは少しずつ驚いたように目を見開いた
『その、今日はずいぶんあまえてくださってるようなので……何かあったのなら、その、私にできることなら何でもしますから言ってくださいね』
すると、草薙さんはふっと笑った
「ほんまに、かなわんなぁ……祈李には」
『え?』
困惑する私をよそに草薙さんは私の顔に近づく
『く、草薙さっ…………ん……ふ………』
触れるだけのキスなのに電流が駆け抜けた時のような衝撃で動けない
顔を赤くしてぼーっとする私に草薙さんは笑った
「まだ慣れへんのかいな、可愛えなぁ」
『ッ!!』