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□No Rain,No Rainbow
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王になった当初、私は不幸のどん底に落とされた
大好きだった祖母が死んだうえ、父が母の妹と不倫関係であることを知った母はうつ病になった
それから徐々に父は家に帰らなくなりここ数ヶ月姿を見ていない
そんな時だった
私が石盤によって「黒の王」に選ばれたのは
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雨の降りしきる日、私は公園でブランコに腰を掛けていた
髪は濡れて肌に張り付き、制服は濡れていつも以上に重たくなっている
自分の回りに大きな変化が起きすぎた
何も考えられずただ呆然としていると突然雨が止んだ
「雨降ってんねんから屋根あるとこ行きいな」
のろのろと顔を上げるとビニール傘をさしたサングラスをかけた男が苦笑していた
赤の王の参謀のクランズマン、草薙出雲だ
二、三度顔を合わせたことがある
『お久し振り、です』
「いやいや、挨拶してる状況ちゃうからな」
しっかりつっこんでから草薙さんは私に手を差し出した
「ここやとあれやし、ウチ行こか」
通常なら知っている人とはいえ異性の、しかも家に行くなんて絶対にしないのだがこのときの私は頷いたのだった
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家にお邪魔するなり草薙さんは私にTシャツとジャージを渡して着替えるように言った
言われた通り着替えたが、草薙さんと私とでは伸長差がありすぎて見事にだぼだぼだった
草薙さんの元に行くと彼は私を見るなりぶっと吹き出す
「祈李ちゃんがちっちゃいのはわかってたけどここまでとはなぁ」
笑う草薙さんは手で自分の隣に座るよう促すと水の入ったグラスを渡してくれた
「さぁて、祈李ちゃんなんで雨んなかずぶ濡れで一人でおったんかな」
優しく尋ねる草薙さんに私はグラスに入った水を眺めながら口を開いた
『父さんの前で能力使っちゃったんです』
途端に草薙さんの表情が真剣なものに変わる
『父さんが、叔母さんと不倫してて、それを知った母さんがうつ病になったんです。それから父さん、少しずつ帰ってこなくなったんです』
『そしたら今日、久々に父さんが帰って来たんですけど母さんと喧嘩になったんです
。そしたら母さん倒れちゃって』
でも父さんは母さんが倒れたのに見て見ぬふりをしようとした
――許せなかった
『それで能力でテレビ爆発させちゃいました』
草薙さんはうつむく私に先ほどと変わらず優しく尋ねた
「お母さんは?」
『今、病院で入院してます。…………父さんはたぶん叔母さんのところに逃げました』
自嘲ぎみに笑うと草薙さんは私の頭をわしわしと撫でくり回してきた
「辛いな」
その一言が私を繋いでいたなにかの糸を切った
相眸から涙が溢れ、止まらない
困っていると草薙さんは黙って私を抱き締めてくれた
『ごめ………なさい………っ』
しばらく私は草薙さんの気持ちに甘えたのだった
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ようやく落ち着きを取り戻すと草薙さんは私に穏やかな口調で語りかけた
「No rain,no rainbowって言葉知っとる?」
『えっと……、ごめんなさい』
「雨が降らへんと虹は出ぇへん、簡単な話、辛いことがあるから幸せなことがあるってことやな」
草薙さんは私を見下ろしながら微笑んだ
「こんだけ苦しんだんや、もうすぐええことある。せやから頑張れ」
新たな涙が頬を伝う
「俺を始めとする味方がおること忘れいなや。助けがいるときはいつでも言ってくれて構わへんから」
私は涙でぐしゃぐしゃの顔でしっかりと頷き返した
雨は上がり、青空が広がっていた
No rain,no rainbow
(明日はきっといいことがある)
*あとがき*
はい、
ということで記念すべき第一号にも関わらずぐだぐだという作品で非常に申し訳ありません。
ちょっとまだ不慣れなものですからわたわたしてます(-_-;)
もうちょっとスマートにかけるよう努力していこうと思いますのでよろしくお願いいたします。
黒の王である主人公は王になったばかりなのでどのクランに対しても平等、ということで草薙さんとも仲がいいという設定です
ちなみに、この話はもうちょっと展開したいな……、なんて考えてたりなかったりしております(^-^)
最後に駄文なのに読んでくださった皆さま、ありがとうございました!