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□初恋
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 いつものように体を重ねた後、ベットでまどろんでいると、唐突にハルトがクスッと笑った。なんだ、と尋ねると、ハルトはわずかに目を細めた。

「初恋は実らないってジンクス、本当なんだなって思ってさ」

何が言いたいのかよくわからず、エルエルフはハルトを見る。

「僕の初恋は、まあ…ショーコだった訳なんだけど、そういえば実らなかったなって」

フフッと笑い、エルエルフの髪を撫でた。
ああ、と納得して瞬きをした。

「…残念なのか? 初恋が実らなくて」

「うんん、まさか。僕は今君とこうしてて幸せだもの。実らなくてよかったな、って意味」

「そうか…」

「うん」

ふわっと微笑み、エルエルフを抱き寄せて腕の中に抱き込んだ。
だがハルトの胸元で、エルエルフは少し面白くなさそうな顔をしていた。

「…そういえば、確かにそうだな。俺の場合もそうだった」

え? と、ハルトはエルエルフを抱きしめる手を緩めた。
そうなの?と視線で問えば、緩んだ腕の中からエルエルフが見上げてくる。

「俺の初恋は…リーゼロッテだからな。お前とこうなったわけだから、俺も実らなかったということになるだろう?」

「あ、やっぱりそうなんだ…」

パーフェクトアーミーの彼が、リーゼロッテの写真を隠し持っていた時点でそうではないかとは思っていた。
恐らくこの子がエルエルフの好きな人なんだろう、と。
しかしいざ本人の口からそのことを告げられると、やはり嫉妬を覚えるわけで。

「うーん…わかってはいたけど…君の口から言われてしまうと、ちょっとくるなあ」

むうっとそう言えば、腕の中でエルエルフが笑った。

「わかったか?」

「え?わかったか、って…あ、え?も、もしかして君…」

「お前が指南に惚れていたのは知っていたが…お前の口から言われると俺だって面白くない」

エルエルフが言わんとすることを悟り、驚いて問えば、面白くない、と言葉通りの表情で答えが返ってくる。
ハルトの顔がかあっと赤くなり、申し訳なさそうに眉が下がる。
そしてもう一度しっかりと抱きしめなおした。

「ごめん。君を傷付けちゃったんだね…」

「…わかればいいんだ。ハルト、」

「ん?」

「好きだ」

「ん」


ふっと笑う気配がした。
お互いの体温が心地よく、抱き合ったまま二人は眠りについた。
穏やかな顔、今日はいい夢を見るだろう。




end
 

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