Book

□声音
1ページ/1ページ


顔を真っ赤にしながらされた告白に、俺はYesと答える。
「っエルエルフ!!///」
抱きしめながら言ったこれは、「喜び」。


「エルエルフっ!!」
契約を裏切る気かと拳を振り上げながら言ったこれは、「怒り」。


戦闘中に負った傷を隠していて、ふとした拍子にばれてしまった。
「…エルエルフ」
心配するなと背を向けた瞬間に後ろから抱きしめ、苦しげに言ったこれは、「憂慮」。


真っ暗な部屋で、一人うずくまっていたハルトを呼んだ。
「っ…エルエルフ…」
涙をためながら言ったこれは、「憂い」。


引き寄せられ、深いキスをされる。
「エルエルフ…?」
唇を離し、両手で頬を包み込んで確認するように言ったこれは、「誘惑」。


中を激しく突かれる。
「ぅ…ぁ、エル…エルフ…っ!!」
絶頂を迎えて締まった俺の中で、びくりとハルトが震える。
雄の顔をして、余裕のないような声で言ったこれは、「情欲」。


夜。二人身を寄せ合って眠る。
「エルエルフ…」
頭を撫で、頬を撫で、微笑みながら愛おしそうに言ったこれは、「慈愛」。



「エルエルフ」

たった一言を言うだけなのに、お前はいつも多くの想いをのせてくる。
俺が大事だと、愛していると、名前を呼ばれるたびに言われているようだ。
甘いと言ったお前らしい。


いくつもの想いをのせて発せられる、お前の声…。
認めたくないと思いながらも、どこかで俺は安らぎを感じている。

ああ、そんなお前だから、俺は…。



end
 

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ