せいんと学園高等部

□せいんと学園高等部
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昼休みの悪魔の笑顔の主協力のもと、今日の放課後からテストに向けて勉強会を開いてくれることになった。
たしかに救いを求めたのは私なのだが、そこまでやる気になられると少し怯えてしまう。
それは親友がシオン先生に説教をしてしまうほどのおそろしさを兼ね備えているからかもしれない。

「カミュー!助けてくれええ…!」

そんな恐ろしさに怯えつつペンを走らせていると私のすぐ裏にある教室の扉が開き、いきなり大声を出されて驚くとともに耳鳴りがした。
こんなに騒がしくこの教室に入ってくるのは一人しかいない。

「ミロ……うるさいんだけど。」
「ああ、すまんすまん。あまりにやばかったんで、つい。」

てへへ、と彼は自分をかわいいと思っているのか下を出して笑っていた。
まぁ実際容姿端麗だから珍しいものを見れて悪い気はしない。
…完全にだまされた気もするが。
ミロはそのままカミュに抱きついた。
大層おもてになる2人だから私と親友以外の女子は黄色い声をあげる。
それも気にしないのか、カミュは我関せずといった様子で勉強しているのか、ノートにペンを走らせていた。

「なぁカミュー。助けてくれよー。」
「どうせ授業中寝てばかりいたんだろう。自業自得だ。」

なおもノートに視線を落としたまま話すカミュの言葉にミロだけでなく私までダメージを負う。
ミロと私は同じ状況だと言っても過言ではない。
そして目の前で親友があんたたち、似たもの同士よねと言ったことが私に追い打ちをかけた。

「なんかミロと一緒にされたくない……。」
「だったらちゃんと勉強しなさいよ。」
「う…あ!先生たちに直接ききにいったほうが早いんじゃない?」

私がそう言うと親友はため息をついた。
なんだか結構離れた場所にいるミロたちのほうからもきこえた気がする。

「あんたみたいな考えの人がいないわけないじゃない。ためしに実験室見てみなさいよ。」

私たち1年の教室がある階には理科系の授業で使う実験室がある。
だいたいアルバフィカ先生とマニゴルド先生は白衣姿でそこにいるのが確認されており、女子が集まっていることもあった。
そんな場所を教室にある廊下側の窓から見てみると長蛇の列ができている。
女子の比率は高いものの、今日は男子もいるようだ。

「何あれ……。」
「テストに関する情報を得るために躍起になっている人たちと先生たちのファン。」
「うへぇ……。」

教科書片手に勉強しながら並んでいる姿ははたから見れば異様だ。
そこまでしてもテストの情報がえられるとは限らない。
マニゴルド先生はともかく、真面目なアルバフィカ先生が教えてくれるとは思えない。
それを思うと、先生たちに知恵を借りようとしていたさっきまでの自分が馬鹿みたいに思える。
そして先生たちのファンもちょくちょく見かけるがよく飽きないものだ。
見ているだけがそんなにいいのだろうか。

「好きな人の姿が見れるだけで、満足なんじゃないの。私にはわからない感情だけどね。」

親友に疑問を投げかければ呆れたように返されてなんとなく安堵する。
自分にもその感情は理解できなかった。
それは彼女たちのように人を好きだと、男性を好きだと実感したことがないからだろうか。

いつの間にかぼーっと考えこんでいたようで親友に頭を叩かれる。
集中して勉強しろ、ということらしい。
私の中で疑問は消化されることなく、テスト勉強の影に隠れて消えていった。
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