せいんと学園高等部
□せいんと学園高等部
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エルシド先生と屋上のやり取りがあった後。
その昼休みのテンションのまま私は放課後まで突入した私はルンルン気分で部活に向かっていた。
そんなテンションが高いままだったからだろうか。
部室のある1階に向けて私は3階の階段を降りようと踊り場に差し掛かったときに何を思ったか、レグルスのことを思いだした。
この間ヤツはこの高い階段を飛び降りていなかったか。
ヤツに出来たのだから私にもできるんじゃないか。
今ならいける気がする・・・!
そう思った後に私は気づいてしまったのだ。
ヤツは体育会系。私は文科系。
所詮私の身体能力など虫けらのようなものなのだと。
「・・・ふふふふ。痛いよね。当然だよね。」
自分でつぶやくとむなしさがさらに増す。
先ほど思ったことは全て私が階段から飛んだあとに思ったことだ。
飛んだ後に思っても後の祭。
飛んだ後私は階段の途中でそのまま変な風に足から着地。
見事に足をくじくという状況にぶち当たっているわけである。
くじいただけならまだいい。
足に力が入らなくて立てないのだ。
しかも今は放課後である。
生徒のほとんどはすでに自分の部活に行っているようで廊下にいても誰にもすれ違うことはない。
このままでは部活に行けないどころか帰ることもできない気がしてくるほどだ。
痛さもあり、虚しさもあってか少し泣きそうになる。
「お、おい。お前、どうしたんだ?」
そんな状況に今にも泣き出しそうで下をむいていると、気づけば目の前に柔道着らしきものを着た人が立っていた。
黒髪に切れ長の目をしたかっこいい人。
その人は私の様子を見て焦ったように話しかけてくれた。
「足・・・くじいたみたいで・・・。」
「ああ・・・これは結構ひどいな。」
泣きそうだったからだろうか。
自分とは思えないほどか細い声が出て自分で驚いて少ししどろもどろになってしまった。
そんな私とは対照的に黒髪の人は冷静に私の足を診てくれているようだった。
「とりあえず保健室にいったほうがいいな。立てるか?」
そうきかれたが、これ以上しゃべると涙がでてきそうで声がでなかった。
首を振って答えると、黒髪の人は少し考え込むように静かになった。
そしてしばらく続いた沈黙の後、ため息をついたようだった。
「あ、あの・・・」
「我慢しろよ。」
「へっ・・・!?」
ため息をつかせてしまうほど彼に迷惑をかけてしまったのか、と自分の行動に後ろめたさを感じて声をかけようとした瞬間だった。
黒髪の先輩は言うが早いか私の腕を掴んだと思うとそのまま私を抱え込んだ。
つまり、お姫様だっこというやつである。
「あ、あの・・・!?」
「そういえば名前きいてなかったな。」
「えっ・・・あっ・・・1年の立花愛です。」
「立花だな。もう少しでつくから我慢してろよ。」
どうしてお姫様だっこなのか。
そうきこうとおもったのに先に繰り出される質問。というか、なんで今名前なのだ。
たしかに自己紹介してなかったが、だっこする前にきけばよかったのでは・・・。
と思ったが、それよりもまず恥ずかしさが先行している。
それに形はどうあれ保健室に連れていってもらっているわけだ。
迷惑をかけていることには変わりない。
彼のいうことはおとなしくきいておこう。