せいんと学園高等部
□せいんと学園高等部
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「じゃあ、ここを答えてもらおうか。カミュ、お願いしていいか。」
「はい。」
2限目の数学の授業。
1限目の国語でしっかり睡眠をとった私は教科敵には好きでもないデジェル先生の数学の授業でパッチリ目を覚ましてしまっていた。
隣ではアイオリアが四苦八苦といった様子で教科書と黒板を見つめている。
私はと言えばべつに勉強には興味がないため、ぼーっとしていた。
「このような流れによって答えは3です。」
「正解だ。」
黒板に立ち、答えをすらすらと書き、すらすらと説明したさらさらの赤髪は無表情のまま席へ戻っていった。
入学して1ヶ月。
いまだにカミュとは話したことがない。
話す機会がないというのも原因のひとつなのだろうが、多分に影響しているのはなんとなくずっと無表情そうだからということだろう。
まぁべつに今後かかわりがないかもしれないし、気にしなくていいか。
そんなことを考えていると少しきた眠気に誘われて私は眠りに落ちていった。
「じゃあ、カミュと立花は図書委員で決定だな。」
おっといきなり関わりキター。
午後一番の授業。所属する委員会を決めなければいけなかったらしく、本が好きだという理由だけで選んだ図書委員。
数学の時間に見た赤髪が目に付く。
まさか同じ委員会になってしまうとは。
べつに構わないのだが、一抹の不安。
「ねぇ、アイオリア。カミュくんとしゃべったことある?」
「ああ。頭が良くて、面倒見もいい。良い奴だぞ。」
「へー、そうなんだ。」
そう語るアイオリアは少し誇らしげで笑顔だ。
アイオリアがこういう風に言うんだから良い人なんだろう。
「カミュくん。同じ委員会になった立花です。よろしくね。」
「ああ、よろしく頼む。」
その日の放課後、そのまま委員会の顔合わせがあるということで私たちは一緒に図書室まで行くことになった。
自己紹介をすると彼は軽く微笑んだ。
無表情ではないではないか。
最初の印象だけで決めつけていた自分が恥ずかしい。
「カミュくんってさ。」
「ああ、立花さん。私のことはカミュと読んでくれないか。くんづけされるのはなれなくて。」
「そう?なら私も呼び捨てでいいよー。堅苦しいのはしょうに合わないから。」
にひひと笑うとカミュは少し笑った。
すごく話しかけやすいし、話をきいてくれる。
この人はアイオリアの言った通り、気遣いのできるいい人なのだ。
本当に自分が恥ずかしくなってくる。
「カミュってすごい話しやすい。」
「どうしたいきなり。」
「んー・・・率直な感想デス。」
「ふふ。そんなことを言われたのは初めてだよ。」
少し照れくさそうにカミュは笑った。
それにつられてなぜか私も照れてしまった。
いけない、いけない。
アイオリアといい、カミュといい私は良いクラスメイトに巡り合えたらしい。
「頼りにしてるよ、カミュ。」
「君は本当に突然ものを言い出すんだな。」
「それが私なのデス。」
こうやってやりとりしてるとまるで親友と話しているみたいだ。
こんな私でもカミュは驚いている表情もたまにするが、それでも楽しそうに話してくれている。
カミュと一緒なら委員会も楽しくなっていきそうだな、
とこの後のことを考えてわくわくしていった。