内実コンブリオ

□第1章*栗山side 中編
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「だあぁぁぁぁぁぁっ!!」



…ん、あれ?え、あ?



「栗山ァ、だーいじょーぶか、おーい」



どうやら今は、社会の北口先生の授業中で、見事に爆睡してしまっていたらしい。



「すんません」

「おい栗山、どうしたんだよ」

「夢見た」

「どんな?」

「言えね」

「んだ、それ」



言えるわけねぇよ。

自分で考えても、なんて気色悪い夢。

あれからどうしたってんだ。

本当に俺はどうしちまったんだ。

あの何日か前の睨まれた時あたりから、どうも何かがおかしい。

自分でも気づかない内に視界にあの子が映っている。

いや、違うのか?

気づいたら、あの子を探している。

ああ、もう!

俺は本当にどうしちまったんだよ!

いや、一目惚れはわかってっけども、こうも生活って変わるもんなのか?

俺、絶対今気持ち悪いよな。

そんな事ばかり考えて、本気で悩んでいたその時。

目が合った。

確かにあの子はこっちを見てた。
そして、目が合った。

これは、自惚れていいのか?

いや、気がはやいか…。

こんな事で浮かれれる俺はまるで、少女マンガの主人公みたいで、我ながらなんて気持ち悪い奴。

でも、不思議と幸福な気持ちだ。
とりあえず、一つ決心した。

いつかは気持ちを告げよう、と。

何なら、今すぐにでも言うか?

いや、それは駄目だ。

相手をよく知ってからじゃないとな、うん。

俺、真面目だろ?

いや、でもあの時水川との間にわって入って、助けたからイケんじゃね?

いや、でも今すぐ付き合いたいとかじゃなくて…なんか…なんか違うんだよな。

今はよく見て、それから知りたい。

ここ最近夜、夢の中には必ず咲宮 華さんが出てくる。

夢の話の内容は毎晩全部違うのに主人公、相手役は全部あの子。

しかも、俺はそれらのストーリーをとぎれとぎれではあるが覚えている。

頭、イってんじゃねーか?と自分でもつくづく思う。

でも、俺が会話してるのって、会ってるのって、幻想の咲宮 華さんだ。

現実世界の本当のあの子の事が知りたい。

どうすれば知ることができるのか。

悩んで悩んで、考えてみた。

体育の時間に考えて考えて、バスケットボールを顔面で受け取り、国語の時間に頭がぼーっとしながら英語の教科書を呼んだり。

掃除の時間も考えに考えていたら、雑巾に気付かず滑り、見事背面バク宙が決まる。

そして、いい案をひらめいた。

背面バク宙のおかげだな。

と、いう事で『咲宮 華さん観察日記』をつけてやる事にした。

とことん見てやろーじゃねーか!

あれ?

ひょっとして俺ってちょっと変態?
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