お茶にしましょうか

□Scene 6
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そんな江波くんの隣には男子1人と、あのマネージャーの彼女が立っていたのです。



「ちょっと、あんた何、女の子吹っ飛ばしてるのよ。」

「いや、好きで吹っ飛ばしたわけじゃ…」

「言い訳してんじゃねぇよ。可哀相だろ、早く起こしてやれよ。

せっかく引っ込んだ『でこのこぶ』がまた出てきたら
どうすっぐっ…?!」



先程まで話していた男子が何故か突然、脇腹辺りを押さえ、崩れ落ちてゆきました。

何かに耐えている表情のその彼に釘付けになっていると、またも江波くんは、私に手を差し延べてくださいました。

その手に従い、私は手を彼の手に重ね、引っ張り上げていただいたのです。

こんな風に触れ合ったのは初めてでしたので、とても恥ずかしい想いでした。



「ありがとうございます…」

「い、痛いところは…」

「平気です。少し痛いだけでした、お尻が。」



私はそう言っただけでしたのに、江波くんはばつが悪そうに俯いてしまいました。

もしや「おしり」という単語が、少しばかり下品だったのでしょうか。

思いもしていませんでしたが、深く後悔しました。

きっとこの後悔はたった今、表に表れていると思います。

なぜなら、江波くんとお揃いで、顔全体が真っ赤に染まっているはずだからです。

しばらくの間、二人して赤くなり静止していたものですから、マネージャーの彼女は痺れを切らし、ため息を一つつきました。



「貴女とこいつ、何か似てますね。」

「え…!そうでしょうか?!」



彼女からの意外な台詞に、思わず喜んでしまいました。

しかし、彼女は私の恋敵です。

嫉妬である可能性もあります。

ここは、用心に用心を重ねることにいたします。



「二人とも、お似合いですよ。こいつには、貴女の様な人がしっくりくるかと。」

「それは一体…」

「こいつにもそろそろ、彼女が必要なんじゃないか、って思いましてね。」

「なっ、お前っ…!」

「何、まだ言うの?「俺は野球に専念したいんだ」って。」

「まっ、待って下さい!!」



私は今、とても混乱しております。

慌てて止まっていただきました。

順に台詞を追っていくと、私が今までに思っていたことと、何一つ噛み合わないではありませんか。

今まで悩んだ私は、無駄だったのでしょうか。



「てっきり私、お二人は相思相愛なのだと思って…」

「次にそんなつまらないことを考えれば、どうなるかをよく考えておいてくださいね。」



ええ、今まで悩んでいた私は、無駄でした。
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