お茶にしましょうか

□Scene 5
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服装は昼間とは違い、上下ジャージ姿でした。

あたりも暗く、あまりよく見えませんでしたが、手には大きなカゴを抱えていたのです。

その中身は、野球の道具でしょうか。

よくはわかりません。

たった一人で運んでいます。

彼女の歩いてきた後ろを目で辿っていくと、まだまだ似た様なカゴがたくさん積まれていました。

それを見て見ぬふりなど、私はとてもできませんでしたので、思わずフェンス越しに、彼女へ声をかけてしまいました。

それはいつかに、江波くんに声をかけた様にです。



「お一人ですか?」



そう問い掛けると、彼女は驚いたのか少し肩を強張らせ、ゆっくり振り返ってくださいました。



「もし良ければ、お手伝い致しましょうか?」



私は我ながら何をしているのだろう、と思いました。

もしかしなくとも、彼女は私にとっての恋敵であるかもしれないのですから。

そんな相手とたった今、並んで歩いています。

昼間、江波くんと仲よさ気に会話をしていた女性は、どうやら野球部のマネージャーであった様でした。

しかし、いくら毎日お世話をし、顔を合わせる様な仲といえど、男の子があの様に笑うでしょうか。

どうしても気になり、仕方がないので、彼との関係を回りくどく尋ねました。



「野球部に江波くんという方が、いらっしゃいますよね。ご存知でいらっしゃいますか?」

「ええ、幼なじみですが。」



彼との関係を回りくどく尋ねる、つもりでした。

しかし、これで決定です。

彼女は私にとって、恋敵でした。





Scene 5 早過ぎる恋敵 1
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