お茶にしましょうか

□Scene 4
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小心翼翼、気が小さく何時でもビクビク、と何かに恐れている様な奴のことをいうらしいのだ。

まさに、俺のことを言っているではないか。

偶然にもこの言葉を見つけた時、迷うこともなくそう思えた。



『それでも頑張るということは、何かを信じている、ということではないのですか?』



これは、俺がくだらない言い訳を吐き出した後に、あの子が教えてくれたものだ。



『仲間のためになるわけない…』



今度のこれは、俺が今まで続けてきたものを「やめる」と言った時に、小さく呟かれたものだ。

他にもたくさんのことを言われたが、特にその2つの台詞が頭を離れないでいた。

出会って間もなく、心を触れられたような感覚がしている。

奇妙だ、とも思う。しかし、不思議でもある。

それは善意を持つかと問われれば、非常に微妙だ。

しかし、一時でも支えられた。

この事に関しては、俺の中で彼女の存在は大きいのだと思う。

そうして俺は、彼女の少しばかり説教染みた言葉に支えられ、今もこうしてグラウンドの上に立っていた。

心は支えられたはずだった。

しかし、これは何故だ。

こわい、こんな感情がある瞬間を迎える度に押し寄せる。

俺付近の上空で、白い球体が飛ぶ時だ。

それはまさに、たった今でもある。

練習メニューの一つであるアメリカンノックは、今まで俺にとっては厳しい練習のうちの一つ、という認識でしかなかった。

あくまで今までは、だ。
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