短編集

□影の幼馴染
1ページ/1ページ





「黒子に幼馴染なんていたのかよ?」

練習終わりの帰り道。
青峰は黒子に言った。
黒子はアイスを食べながら答えた。

「ええ、幼馴染いますよ?
彼は並盛に住んでいるんですけどね。」

「名前はなんていうんスか?」

黄瀬が黒子に尋ねる。

「沢田綱吉君です。
結構平凡な感じの中学生ですけどね。」

「ふ〜ん・・・」

ふと前を見ると一人の少年が道の真ん中で周りを見渡している。

「何してんスかね?」

「道に迷ったんじゃねーの?」

「彼は・・・!」

少年の姿を見て黒子が走り出した。

「あ、おいテツ!」

「綱吉君!!」

「あれ、テツ君?」

「どうしたんですか?こんなところで」

黒子が少年に話しかけた。
少年は黒子の問に答える。

「テツ君の家に向かおうと思って。
けど、どこだったか忘れちゃって・・・」

苦笑しながら少年が言った。
はぁと黒子はため息をつく。

「なんで僕の家に?」

「え、商店街の福引でバッシュが当たっちゃって・・・。
俺の近くでバッシュを使う人はいないし・・・テツ君にもらってもらおうかと思って。」

がさりと袋から取り出したのは最近発売したバッシュだった。

「!これ・・・本当にくれるんですか?」

「うん、いいよ?」


「・・・なんか、俺たち忘れられてないっスか?」

「言うな、黄瀬・・・」

黄瀬と青峰はつぶやく。
そして彼らに気がついたのか黒子がこちらへ走ってくる。

「ちょうどいいのでみなさんに紹介しておきますね。
あっちにいるのが僕の幼馴染の沢田綱吉くんです」

綱吉はこちらの視線に気がついたのかぺこりと会釈をした。

「へぇ・・・彼が。」

赤司が小さな声でつぶやく。

「あ!テツそのバッシュ!」

青峰が黒子の持っているバッシュに気がついた。

「あ、これですか?綱吉君からもらったんです。」

「それは最近発売したバッシュではないか?」

緑間がメガネを上げて言った。
黄瀬は「いいなー!」と言っている。

「あげませんよ?」

「ちぇっ」

「あ、テツ君俺そろそろ帰るね。
それを渡すためにここへ来ただけだし。」

「あ、はい。また遊びに来てくださいね?」

にこりと笑って綱吉は帰っていった。

「彼、何か特殊な力を持っているのかもしれないね。」

「赤ちん?
もしかして、気に入ったの?」

紫原がアイスを食べながら(3本目)言った。

「まぁね。」

「ふーん・・・」

黒子は綱吉からもらったバッシュを大事そうに抱えていた。

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ