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作者瑠衣の創作の原点は映画
とにかく心に響いた映画をただただレビューとして残していく場所です


あなたにとっての
忘れられない
作品はなんですか
◆兄妹愛の至高 


神弓-KAMIYUMI- [DVD]
ワーナー・ホーム・ビデオ


多くを語らぬ人ほど背中で語る

偶然テレビで見かけ、久しぶりにアジア映画をと思って試してみたのですが……脳が熱くなる作品です

中国でなく挑戦に注目した時代物で、弓の名手の兄の物語
静かな執念に寒気がします
台詞は少ないのに、彼の眼が映っただけで言葉が聞こえる
男のこういう強さは非常に惹かれます
また中国側の王子役が悪役なんだが良いんだこれが……
配役がピッタリだと世界に沈み込めます

ひたすら自然の中を駆けるような映画ですが、きっと最後は自然と頬が濡れるはず

お前が父となり

あの子を守れ

2013/07/19(Fri) 01:09  コメント(0)

◆時間を忘れるドラマ 


戦火の馬 [Blu-ray]
ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社


これも観たのは一年以上前でしょうか
海外の馬が好きで、馬を目当てに借りたものですが……そのストーリーに嗚咽しました

とにかく舞台の再現が素晴らしい
軍記ものはどこか浮き出た違和感があるものですが、画面をとりまく霧の効果でしょうか
それは時に靄だったり、木漏れ日だったり
とにかくタイムスリップをしたような、何の抵抗もなくその時代に溶け込めました

一頭の馬が戦場を次々と主人を変えながら駆けていく
スピルバーグ監督のファンを辞められないのは、そのどの主人のドラマも等値の感動があること
きっと観終わって予告編をもう一度再生したとき、ここまで背筋が冷たくなる作品はこれまでなかったでしょう

題名の馬の引き立たせ方は拍手するのみで、戦場を駆ける姿に人間の愚かさをどこかやるせなく感じますね
犬とはまた違う
この高貴さと力強さに畏怖すら湧く
だから馬は好きなんだ……

サラの鍵にも表れた俳優がまた素敵な役を演じ切っています
良かったら見つけてくださいね


僕が育てる

育てたいんだ

2013/07/10(Wed) 04:14  コメント(0)

◆官能と錯覚するほどの甘美な闇 


少年は残酷な弓を射る [DVD]
東宝


これも表紙の彼の美しさについ手を伸ばした作品です
私の眼に狂いはなく、この俳優の妖艶な演技は国を超えて話題を呼ぶものでした
また前半を占める幼児の彼もまるで教会に描かれる天使のような容貌と空気を持っているのだから心臓に悪いです
良い意味でね

丁度、どこまでも玩具の最期を書く前のことでした
類沢と雅樹の心が今一つ理解しきれなくて、映画に活路を導いてもらおうと選びました

パッケージの通り、赤の世界です



それは少年の中に渦巻くどうしようもない怒りだったんでしょうか
母のいらだちだったんでしょうか
観終わった後も多数の謎が残る作品ですが、最後はなにかがストンと腑に落ちるのだから不思議です
解釈も無限にあります
しかし、私が学んだことは一つ

思春期の青年は悪魔にも天使にもなりうる危うさを持っている

これだけです
あとは映画に酔いしれました
理解したいから観ているんじゃない
ときには楽に溺れたくなります
どうでしょうね
皆さまは何を感じるでしょう


ねえ、母さん

僕が怖い?

2013/07/10(Wed) 04:05  コメント(0)

◆蘇ったサラの華麗な命 


サラの鍵 [DVD]
東宝


弟と約束したの

納戸に隠れててって

鍵は私が持っているから、開けにいかなきゃいけないの

少女にとっては数時間で帰れるはずの事件
それは大きなナチスとユダヤ迫害の渦に呑まれて沈まされていく

少女時代のサラ役の女の子の存在感に眼を疑います
必死に生きる
細くて弱い体なのに、あれほどの戦争の中で弟の為に走る姿は声に出して応援したくなるものがあります

過去と現代の織り合いが自然で、次々時代が移り変わっても全くこちらを疲れさせない、むしろ追っていきたくさせる魔力を持った作品です
主演は大女優で、さすがの空気で惹き込まれます
キャストが誰もが適任で、どの人物に対しても感情移入出来るのはもはや奇跡のような世界観です

黄金色の原っぱで駆ける少女たちを見ていると、自分の生き方に喝を入れたくなりますね
表紙で選んだものでしたが、何一つ文句のない「最高」と呼ぶにふさわしい傑作です

淀みのない音楽が
一週間は耳から離れないでしょう

2013/07/10(Wed) 03:55  コメント(0)

◆黒人女性の眼の中の強さ 


ヘルプ ~心がつなぐストーリー~ [DVD]
ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社


冷遇されても女性はうちに炎を秘めて耐え忍ぶ

麻那姉さんや有紗、河南を描くときにいつも心においていることです
女性の強さ
その陰の苦痛

黒人差別を主題としたこの作品では、ひたすらに彼女たちの静かな、確かな意思に見とれてしまいます
たとえ偽りだとしても罪をひとたび着せられれば言い逃れのできない身分
暴力から身を守ることさえ満足に許されない
中盤まではユーモアもありつつ胸をえぐられるシビアな映像が続きますが……確かに最後まで観終わったときには積み重なったそれら全てが溶けて混ざり合い、抗えない感動になってなだれ込んでくるでしょう

その生き方は、疲れませんか?

いつも立ち止まったときに蘇る台詞
満足してる? とは違う
この遠慮がちな、しかし本質を突いた一言を投げかけられたとき、どうしようもない涙に襲われます
こうして強く生きてきた彼女たちだからこそ響かせる力のある一言
どうか感じてみてください

三年後
五年後
十年後
また観て思い出そうと決意しました
未来の私に、その生き方はどうですかって

2013/07/10(Wed) 03:45  コメント(0)

◆少年の後ろに天使が見える 


縞模様のパジャマの少年 [DVD]
ワーナー・ホーム・ビデオ


去年の冬にあらすじ紹介に惹かれて手を伸ばした一作です
もともとナチスの作品を広く読んだり観たりしていて、ワルキューレやヒトラー最後の14日間、パンズラビリンスなどを思い出しながら見始めましたが……これはそのどれもを抜く壮絶な世界でした

きっと友情以上に美しいものはこの世にないんでしょうね
それも見返りなんて何一つ求めない
君がいれば、それでいい
勿論、この二人の少年は身分の差から、いつも食料の問題が付きまといますが、それだけじゃない
まさに柵のこちらと向こうの越えられない残酷な壁を描いた衝撃作
ラストにかけての展開が非常に緻密で、彼らの隣を走っているように翻弄されます

小間使いになった少年が食器を拭いているシーンが私は一番好きで、光り輝くリビングでにこりと微笑む少年の後ろには確かに天使が見えます
無垢
それを感じたいときに観ると心が洗われる芸術作です

ぼくのエリでも語りましたが、二人の子役の演技には息を吐くばかりです
最後に手を繋ぐ瞬間は全身の鳥肌が立つでしょう

また明日来るよ
君に会いに

2013/07/10(Wed) 03:36  コメント(0)

◆儚い美しさに溺れたいなら 


ぼくのエリ 200歳の少女 [DVD]
アミューズソフトエンタテインメント


吸血鬼が好きです
ドラキュラではありません
ヴァンパイアが好きです
この違いがわかる人がとても好きです

雪の白さと沈黙
まるで止まっているような時
静けさの中の闇
ぼくは雪の真ん中で彼女に出逢った


海外の少年少女の魅力は未知数
邦画に手を出せないのはこの子役の質でしょうね
主役のオスカーの呆けた表情や、世界にどこか冷めた物憂げな瞳には瞬きすら許せず惹き込まれます
ヴァンパイアのエリの豹変ぶりには口を覆いたくなる迫るものがあります

スウェーデン映画は音楽と景色をとことんこだわります
ここは絶対アメリカ、日本では適わないところです
だからこそ受け入れられる台詞の少なさ
沈黙の長さ
ただただ音楽を聴いているだけで世界に飲み込まれていく無力な快感
素敵です
オスカーは歩いているだけで芸術的な繊細さと脆さを持ち合わせていて、その裏に垣間見える乾いた残酷性が、死の連続をどこか澄み切ったものに変えてくれる

ルービックキューブのシーンの穏やかな平和がクレジットの時に鮮烈に浮かびます
決して明るくない世界なのに、サイレントヒルのように足を踏み入れたくなる魅力は賞賛しかできません
置手紙の意味を考え直すと胸が締め付けられ、ラストに溜息が洩れるでしょう

夜中に真っ暗にして観ると
現実を忘れる作品でしょう

2013/07/10(Wed) 03:23  コメント(0)

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