05/09の日記

21:26
月組『1789-バスティーユの恋人たち-』@宝塚大劇場
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『1789』の日本公演が、宝塚歌劇団 月組によって初上演された。
これぞ本場の、本物のミュージカルだと感じた。
フレンチミュージカルらしく、テンポの良い軽快なダンスナンバーやキャッチーなナンバーに合わせ、生徒の熱いダンスシーンも観ていて気持ちが良かった。こちらまでわくわくした。

『1789』の舞台背景は『ベルサイユのばら』や『スカーレット・ピンパーネル』などでお馴染みの革命期のフランスだが、オスカル・フランソワは当然出てこない。
王妃アントワネットやフェルゼン伯爵は登場するが、メインの役ではなく、平民出身で革命活動をするロナンと、王太子養育係オランプとの身分違いの恋を、革命の動乱の中で貫く様が描かれている。

宝塚歌劇ではトップコンビが幸せになるエンディングを迎えるのが定説だが、アントワネットを演じる愛希さんに対し、主演の龍さんは王室に反旗を翻す革命家側のロナン役で、観劇するまでは如何にしてこの2人が幸せになるのかと思っていたが、今回ばかりは龍ロナンと早乙女オランプで迎えるエンディングで、私がこれまでに観た宝塚歌劇としては初めてのことある。

フランスが革命される物語の中で、愛に生き、熱い血潮が流れる『1789』において、まるで本物の革命期のフランスを見ているような臨場感があった。
月組生全員が、革命期のフランスに生きているようにさえ感じる素晴らしい舞台だった。

ロナン演じる主役の龍さんは、テンポの良いナンバーを高らかに歌い上げ、歌唱力をいつになく、余すところなく堪能できたように思う。本作のロナン役はまさに龍さんのための役ではなかろうか。
今後、宝塚歌劇問わず、本作がどこかで上演される際、ロナン役を演じるには先ず龍さんを模範とされるであろうとまで感じた。

愛希さんは、毎度どんな役柄を演じても自身のはまり役にしてしまう彼女の柔軟さや丁寧な役作りが今回も光り、マリー・アントワネット演じる愛希さんがまるで本物のハプスブルク家の人間のように見えた。
宮廷でのアントワネットは豪奢さを具現化したような華やかな背景に、派手な衣装と化粧鬘が眩かった。

貴族将校ラザール役の星条さんは、流石の存在感。台詞もなく舞台上に立っている時さえも、役柄が発する威厳や気迫と言ったものを感じ、堂々たる演技だった。

凪七さん演じたカミーユは史実上の人物とのこと。
ミュージカルナンバーでは重厚感ある低音を美しく響かせていた。
また、本作はダンスシーンが多く、流石は元宙組生と感じるダイナミックなダンスが大変魅力的だった。
本人も絶対楽しいだろうな…と思ったり…

1幕の第1声は凪七さんで始まり、2幕では客席後方から通路を走って舞台へ登るシーンがあり、通路側であった私の席のすぐ右横を通りすぎたはずなのに何故か見逃すと言う大失態を犯した私…orz

国王陛下の弟アルトワ役の美弥さんは『PUCK』に引き続いての悪役。
権力を誇示してオランプに迫る魔性さは妖しくも美しかった。
黒髪の鬘が役柄に大変映えていた。

『ベルサイユのばら』や『スカーレット・ピンパーネル』などでも登場するロベスピエール役は珠城さん。
安定した歌唱力とダイナミックなダンスが目を惹いた。

そして今回のヒロインであるオランプ役は早乙女さん。
娘役の中でも特に端正で可愛らしい顔立ちの彼女。ふとしたことから運命的な出会いをしたロナンと愛を貫き、強く生きようとする様は、心熱くなった。
革命の動乱の中、ロナンに会うために王宮を後にすると、待ち受けていた美弥アルトワ達に銃を向けるシーンは個人的にはとても好きなシーンである。
(可愛い女の子に銃って萌えるよねって…完全にヲタク的思想らしい…orz)

また、革命期のフランス人たる月組生の背景セットは、宙組『TOP HAT』もそうだったが、スクリーンに背景映像を映し出し、生徒の演技に合わせて背景が流れていき、舞台により臨場感を与えていた。

さて、日本初上陸『1789』は、愛と革命に熱いミュージカルで、客席までもが熱くなった。
観劇中、呼吸をしていたのか分からなくなるほどのめり込んで観てしまった。
また、キャッチーなナンバーは、本場フランス版も大変気になる。ネットで是非とも探してみようと思う。
東京宝塚劇場公演も楽しみである。


(1階4列10番台にて観劇)
D日程:早乙女オランプ、晴音ソレーヌVer.

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