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□敵いません。
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「なぁ、セイ」
「何、レイジ?」
ある休日の昼下がり。
僕は何時も通りレイジと一緒に部屋でゴロゴロとして居た。
ゴロゴロ、というと聞こえは悪いかもしれないけど僕はちゃんとガンプラの調整してるんだからね?
ゴロゴロとベッドの上に寝転がってどらやきを食べているレイジの方を振り向きもせずにただ返事を返した。
ガンプラから目を離す訳にもいかないから。
「どっか出かけねぇ?」
「え――なんだよ、急に。今忙しいんだけど?」
なんで急にそんなこと言い出すのかレイジの真意が分からずに問う。
まぁ気紛れだからね、レイジは。
「また今度ね。今調整中だって……」
「駄目。おい、セイ。こっち向けよ」
「なんなんだよ――ッ、!?」
しつこいレイジに仕方無く振り向くといつの間にか真横にレイジの顔。
僕は思わず仰け反った。
「うわ!な、何!?」
っていうか顔近……っ
至近距離にレイジを感じて心臓がドクンッと跳ねた。
「今日1日俺の言うこと聞けよ、セイ」
「なんで!??」
何ふざけたこと言ってんのこの人とか思ったけどレイジの顔があまりにも真剣だったから口に出すのはやめておいた。
仕方無くガンプラを置いて、レイジに向き直った。
「仕方無いなぁ……」
「おっし!じゃあ行こうぜ!!」
真剣な表情から一変、おちゃらけた満面の笑みへと変わったレイジを見て僕は深い溜め息を吐いた。
仕方無い……一度言い出したら、レイジ聞かないもんなぁ。
「行くよレイジ」
「おう!…あ!待て待て、どらやきがまだ残って――」
「もう!先下言ってるからね!」
ベッドの端に置いていたお皿に乗ったどらやきに手を伸ばしながら言うレイジに声をかけて階段を一気にかけ降りた。