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□夢を見てはいけないでしょうか
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キラリ、と輝る眩しい光に思わず目を細める。
その光は陽の光でもなく紫苑さんの派手ハデなファッションでもなく……ショウくんだった。

大袈裟な、と思うかもしれない。
だけど本当にショウくんは輝いていて眩しくて、それでいてかっこいい。





「やだぁ!ショウくんエロエースがうちわで扇いでくる〜〜!!」



「やめなよ、」






朝、教室に入るなり紫苑さんの叫び声が耳に入ってショウくんの顔が目に入った。




「ちっ!なんだよしてねぇだろ!!」





小島くんは相変わらずだなぁ、なんて思って見つめていると杏ちゃんが近付いてきた。



「おはよう、こころちゃん!」



「おはよう杏ちゃん」





にこりと微笑む杏ちゃんはかわいい。

何一つとして変わらない、五年一組。






「ショウくん百合もかばってぇ。」


「かばって欲しい子、みんな好きだよ」






何時もと変わらないショウくんにほっとした。


“みんな好きだよ”

ショウくんがこの発言をしなくなるとも思えないけれどもしかしたら、なんて思ってしまう。
ショウくんが誰か特定の人を好きになる日は来るのだろうか。


もしそうだとしたら。
そう思うだけで胸が痛くなる。





「こころちゃんどうかした?」


少しだけ微妙な顔をしたのに気付かれたのか、杏ちゃんが顔を覗きながら聞いてきた。

ううん、なんでもない。大丈夫だよと微笑めば、杏ちゃんからも可愛い微笑みが返ってきた。



ありがとう、杏ちゃん。大丈夫だよ。








杏ちゃんはわたしの気持ちを知っている。
ショウくんに想いを寄せていること。



だから誰よりもこうして、気にかけてくれるの。






「あ、こころちゃんそのスカート…この間見てたやつね?」


「あ………うん」




気が付けば杏ちゃんの視線は私のスカートに向けられていて、私は少し顔が熱くなった。

杏ちゃんとお買い物に行った時、見付けたピンク色でフリルのたくさんついたミニスカート。
ショウくんに見て貰いたくて、今日ついに着てきてしまった。



「可愛い!可愛いわこころちゃん!」


「ちょ、杏ちゃん声大きい……」







「お、ほんとだ。可愛いじゃんかよ」






おどおどとする私の目の前に居た小島くんがこっちを振り向く。




小島くんじゃなくて、ショウくんに言って欲しかったなんて言ったら、小島くんに失礼かななんて考えてとりあえずお礼を言った。




「あ、……ありがとう」






大きな声で言った小島くんに、クラス皆の視線が一斉に私に集まる。


なんだか、恥ずかしくて……今私、きっと顔が赤い。



だって………ショウくんも私の方を見てる。
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