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□多分、それは無意識です
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「俺の友だち!出てこいジバニャン!」




何時も通り妖怪に出会って何時も通り妖怪を召喚して戦う(?)。

そんな事が日課になっている俺は、もう普通じゃないと思う。



「ジバニャン!あの妖怪をやっつけて!」


「えーめんどくさいにゃぁ……」



何時も通りの事を言ったらジバニャンも何時も通りの言葉を返してきた。

けどそんなことを言いながら結局は技を繰り出すジバニャン。





「あっちゃあ〜またジバニャンやられちゃったね…」


半笑いで言う俺の顔をじいっと覗き込んで見つめてくるウィスパー。
そんなウィスパーの視線に堪えきれなくなって、俺は小首を傾げた。




「な、なに?ウィスパー?」



「…ケータくんて何時も呼び出す時一番最初にジバニャン呼び出しますよね」



「え」




返ってきた返事は、予想外のものだった。



……う、ん。そういえば……そうかも?




自分でも分かって居なかったところをズバッと核心をつかれて、どきりと心臓が高鳴った。

自分でもほんとうに…よく分からない。




「……た、たまたまじゃない?それかジバニャンが呼び出しやすいからとか」

俺は苦笑いでそう返した。



「ふーん?ほんとーにそうなんですかねぇ?」


「な、なんだよ。その意味深な態度」




俺はムッ、となってウィスパーを睨み付けた。





それだけだよ。だってそれ以外に………無いじゃんか。






「ケータ?なに話してるにゃ?」



「え、な、なんでもないよ!!」




気がつけば目の前には不思議そうな顔をしたジバニャンが居て。

俺はびっくりして額から汗が流れ落ちた。



お、俺どうしちゃったんだろ……。
ウィスパーの言葉なんか真に受けなくても良いのに。







「………これだから無自覚は、困りますね。……いや、無意識でしょうか」


「はぁ?」





またまた意味深なことを言うウィスパーにイラッとして眉間にシワを寄せた。





ウィスパーは言うだけ言って、行ってしまった。





…なんだよ、ウィスパー。












「………無意識の内に、ジバニャンを呼び出していることに気付いていないとは。流石、鈍感なケータくんといったところでしょうか。
……自覚するのはいつなんでしょうかねぇ」





ウィスパーがそんな俺にも分かってない気持ちを理解して、そんなことを言っているなんて俺は知らない。



……だけどきっと気付くのは遅くはない筈だ、と思う。








end


*

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