その他

□bat or happy
1ページ/1ページ





「え、赤城さん好きな人居るの!?」




え、



「ええええぇーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!?!?!?」




昼下がりのラボ。

いきなりそんな会話が聞こえていち早く敏感に反応してしまったのは僕だった。


だって、そんな。





あの赤城さんに……好きな人?





僕は赤城さんが好きで、可愛くて可愛くて仕方無い。その赤城さんに好きな人?




信じられなくて、今会話している四人の元へと一目散に駆けた。
幸い、なのだろうか赤城さんは居ない。





「それほんとですか!?誰ですか!??」



「本当だと思うよー?昨日赤城さんが黒崎さんに……」



青山さんの話によると、赤城さんは昨日何故だか黒崎さんを呼び出してそんな会話をしたらしい。

どうして黒崎さん……ってそうじゃなくて!!!




「誰ですか!??」




そんな僕の二回目の問いに青山さんは知らないよと言った。


黒崎さんも首を横に振って知らないことをアピールしている。


僕はよろめきながらも嘘だと呟いた。


嘘だ……赤城さんが……赤城さんに好きな人なんてそんな…きっと何かの間違いに決まってる。

そんなことを思いながらよろよろ自分の席に座ろうとすると、入り口から赤城さんが入ってきた。




「なんだ今の声は!?事件か!?」


「違うよ。キャップが叫んだの、事件じゃないよ」


赤城さんの問いに青山さんが答えた。



……ッ!赤城さんッ…………!!!





「なんだ。紛らわしいばかキャップめ。じゃあ俺は帰る」

「ぁあ!ちょっと待ってください赤城さん……!!!」




さも普通に帰ろうとする赤城さんの腕を掴んで僕は真剣に目を合わせた。



「なんだ、」



「あ、赤城さん…!」



上手く言葉が出てこなくて肩で息を吐く。




「……す、」


「す……?」






「ねぇ赤城さーん。好きな人居るって本当?」


ちょ!!!!


僕の言葉を遮って訊ねる青山さんに赤城さんの視線は奪われた。






まだ心の準備が……!!!





僕は青山さんから赤城さんに目線を移すと、そこには真っ赤になった赤城さんがいた。

僕の知らない赤城さんだった。





「あ、かぎ……さ、」





そう、それはもう――聞かなくても分かってしまった。




心臓が抉られたような激痛が走り
顔が思わず歪んだ。




……ああ、赤城さん。貴方って人は



僕を地獄に落とすのが、得意なようで。







「……………黒崎ィ貴様ッ!!!」




真っ赤な顔のまま黒崎さんに掴みかかる赤城さん。
青山さんや山吹さんが止めにかかる。


僕はひたすらその光景を見ているしかなかった。






「き、さま……言ったな!?言うなと言っただろうが!!!クッ……!キャップ、これは…………キャップ?」



「な、なんですか……」






僕の顔を見た赤城さんは固まったまま動かない。

僕は目から流れ落ちるものを指で掬いとった。




「…………あ」




僕………泣いてるのか……。






「あ、はは…すみません」




無茶苦茶に笑顔を作って誤魔化す。


ああ、ごめんなさい。誤魔化される筈なんてないのに。






「……おいキャップ」




「は、はい……――ッ!??」







気が付くと、赤城さんは僕の腕の中に居た。





え、なん……で







理解出来ず惚けた顔をしてしまった。







「赤……城さん?」



「ここまですればどんな馬鹿でも分かるだろキャップ」




若干の毒舌が入ったその言葉も。
毒舌なんてどうでも良かった。


ただ、赤く染まる赤城さんが可愛くて。



僕は思い切り抱き締め返した。








「……っ、はい!赤城さん大好きです……ッ」


「……知ってる」








嗚呼、赤城さん貴方は――





僕を地獄へ落とすのも幸せに導くのも、得意なようだ。







end



(ねぇ、私たち完全に空気よね)

(うん。イチャイチャするならどっか行ってやってくださーい)


(まぁ良いじゃないですか、ね?黒崎さん)

(………はい。幸せ、そうだし)




*

―――――――――――
結局赤城さんの好きな人を知っていたSTメンバーww

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ