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□ロイヤルミルクティー
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※学パロ。季節はずれです



コインを一つ、二つと投入し、ボタンを押した。

…ガタン。

ペットボトルを取り出し、温かいそれを手で包む。


…いつもは自販機なんて使わないのだけど、今日は寒い。

温かいものが飲みたかったんだ。

その時、すうっと風が吹いた。

「寒…」

スカートの隙間に冷たい風が吹き込む。

…なんで女子の制服はスカートなのかしら。

「あー、寒っ。…って、売り切れかよ、ミルクティー」

「!」

(あ……)

…心臓が跳ねた。

振り向くと、大好きな彼の姿が。

冷えた体も一気に暖まる。

「ごめんなさい、ジュビアので最後だったみたいです」

「あ?あー、そうか」

じゃあどうすっかな。

そう言って自販機を見つめる彼を見つめるジュビア。

…これからも買いにこようかな、ミルクティー…。

クラスが違うからあまり関わりのない彼と話せた。

それだけで舞い上がっている。

「なあ」

「っ!?はいっ」

突然話しかけられて、変な声が出てしまった。

恥ずかしくてまた顔が熱くなる。

「やっぱ、一口くんねえ?ミルクティー」

「え?」

それってもしかして、か、間接……


「え、で、でもっ、飲みかけだし…!」

「いいんだよ」

「え…?」

「隙有り」

「あっ」

あっという間にジュビアの手元からペットボトルが奪われ、ごくんとグレイ様の喉が動いた。

また頬が熱を持つ。

…本当に忙しい日だ。

「ごちそーさま」

「……」

ペットボトルを返し、彼が去っていく。

…行っちゃうのか…

彼の後ろ姿を見つめていると。

「あ」

突然彼が振り返った。

「俺が欲しかったのは、お前のだから」

「へ?」

「だから、お前のミルクティーが欲しかったんだよ!」

「えっ」

それだけ言って走っていく後ろ姿を理解の追いつかない頭で見ていた。


…それって、


期待しちゃっても、いいんですか?




去っていく彼の真っ赤に染まった顔を思い出しながら、ジュビアは多分今までで一番、頬が熱くなるのを感じていた。







ロイヤルミルクティー




end.


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