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□雨恋傘
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「今日の天気予報は…雨ね」

前は外へ行くとき手放せなかった傘を持って、買い物へ出かけた。

…雨は嫌いだった。

雨女の自分はもっと嫌いだった。

でも、初めて青空を見たあの日から、雨も自分も好きになった。

そして、何よりアナタを大好きになったの。

買い物を済ませ、店の外に出ると案の定雨が降っていた。

傘を差し、歩き出そうとしたとき。

愛しいアナタが濡れながら走っているのが見えました。

「グレイ様!」

「!」

アナタが振り向く。

「あの、入っていきませんか?」

…断られるかしら。

だってこの恋はジュビアの一方通行。

好きでもない女と相合い傘なんて…

だから、

「…あぁ。サンキュー」

「!」

笑顔でそんなことを言われたら、ジュビア、期待しますよ?

…えぇ、わかってる。

アナタにそんなつもりなんてきっとない。

でも…ギルドまでのこの道が終わるまでは…勘違いさせて。

「傘、持ってなかったんですね」

「あぁ。晴れてたから大丈夫だと思ったんだけどな」

「…ジュビアのせいじゃないと思います」

「んなことわかってるよ」

そう言って微笑むアナタ。

ジュビア、幸せすぎて息が詰まりそうです。

「本当助かったぜ。ありがとな」

「どういたしまして」

…神様。

もしいらっしゃるのなら、どうかこの道を終わらせないで。






雨恋傘



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