in the silver.

□ミステリートレイン前編
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さてさて、所でなんだって?

シェリーの手掛かり?

哀ちゃん……頼むから…頼むからもっと慎重に行動してくれ!
人のこと言えないけど!
…早めにせめて、関東からは脱出してほしい。

いや、これマジで切実なんだよ?
この間服買いに行ったら居たし。
焦った。
焦りすぎて、荷物持ちに連れてったウォッカを何の意味もなく取り敢えず殴ってしまった。

しかも、サングラスは自分の手がダメージを受けるので、後ろからはたいた。

一瞬でそれらを考えられる自分の思考にドン引き。

ごめん、ウォッカ。

でも「……悪い…」って謝ったらすっごいキラキラした目で見てきたから、多分大丈夫。


関東にいる限り、こういう偶然が起きる確率が跳ね上がるんだってば!

阿笠博士も保護すんなら徹底的にだなあ…。
偽造パスポートぐらい用意出来ないものか?
キック力増強シューズが作れるなら、余裕だと思うんだけどなあー。


「ついに尻尾を出したって訳ね。場所は?気の利いた狩場だといいんだけど…」


嫣然と微笑みながら、怖い台詞を紡ぐのは勿論ベルモット。


「ミステリートレインです」


「「ミステリートレイン?」」


私とベルモットの声が揃った。

え、ミステリートレインって…
車内で推理クイズがあって、行き先も秘密っていうあの?
しかもオリエント急行を模したデザインっていうあの?

えー、ズルい、いいなー!私も行きたいや!

成る程、これは仕方ない。
目立とうがなんだろうが、これは乗りたいわ。
哀ちゃん意外とミステリー好きなんだろうか?
こんなことなら、組織にいるうちに語るんだったよ!


「そんな目立つ移動手段を敢えて取るなんて、裏をかいたつもりなのかしらね…」


「さあ。でも場所としても最適でしょう?ミステリートレインは、終着駅まではノンストップですから」


おっと、ミステリートレインにときめいていた間に話が進んでいたよ。

では、何時もの如く釘を刺そう。


「あいつは俺の獲物だ。余計な手出しをするなよ…」


ベルモットはかなり不服そうに顔を歪めた。
でも今は無視だ。
ベルモットに任せると本気で殺そうとするからな…。

その点バーボンは、彼女を生きたまま捉えたいらしい。

ちょっと安心要素かな?

とにかく、何としても、哀ちゃんのドキドキミステリーツアーを守んないとね!
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