in the silver.
□銀の悪魔の作り方
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朝目が覚めたら、推定6歳ぐらいの子供になっていた。
意味がわからない。
パニクりすぎて、さっき起き上がったときにベッド下に置いてあった鞄を思いっきり引っ掛けた。それに驚いて咄嗟に掴んだのが運悪くカーテンで、私の全体重に耐えきれなかったネイビーのカーテンは無惨に破れてお亡くなりになった。
そも、私の部屋のカーテンは薄桃色のはず。
見覚えのない部屋。
普通なら誘拐を疑う所だけど……
残念ながら、うちの家はごく普通の一般家庭。身代金の用意など絶望的だ。
いやいや、いやいやいや、それ以前に、
何で私縮んでんの⁉︎
*・゜゚・*:.。..。.:*・''・*:.。. .。.:*・゜゚・*
「ねぇ、ジン。まだ掴めないの
かしら?シェリーの居場所…」
美しいブロンドの髪を書き上げながら、私の首に背後から腕を回してくるベルモット。
今日も素晴らしくお綺麗です。もうね、ここまで来ると年齢とかどうでもいいよね!
美人は揺るぎない正義です。
しかし、私はそんな内心を僅かも表に出すわけにはいかない。
「嗚呼…。今の所何の情報もねぇな。だが、必ず見つけてやるぜ。今更あいつに一般人と同じ生活が出来るとは、思えねぇからな……」
無駄に怪しげに嘲笑うような声で告げる。
そんな怖さMAXの私にベルモットは満足げに微笑む。
うーん、私、俳優になれるかも。
でもこんな危ない人が好きだなんて、ベルモットの趣味と将来が心配です。
優しい人にしときなよ!
さて、少し状況説明をしよう。
平凡な大学生だった私、名無しさんは、ある日普通に寝て起きたら銀髪の6歳児になっていた。
うん。普通に意味不明だね!
でも、これが真実だから仕方ない。
私も未だにこれ夢なんじゃないかな、と思う時があるもの。
身体が縮むとか、見た目は子供、頭脳は大人の名探偵かよ、と突っ込みを入れたのも今や懐かしい思い出だ。
逆だったけどね!
私、飲ませる方だったよ!
そう、あれから二十数年……実は私は、銀色の長髪に黒ずくめのあの人ーージンになっていたのだ。
性別に気が付いた時は、もしこれから神様に会うことがあったら取り敢えず5発は殴ろうと決意した。
そんなこんなで今の私は、見た目は銀のあの人、中身は女子大生名無しさんというカオスを極めている。
コナン君もびっくりだね!
しかし、黒の組織は本気で笑えない。
何かあればすぐ殺しちゃう系男子、人間を標的に頭を狙撃することが大好き系女子の量産場所である。
勿論、そんな危ない組織に関わる気はさらさらなかったよ?
でもねー……
原作には、ジンのプライベートって全然書かれてないんだけど、私が成り代わっているこの世界ではジン(というか名無しさん)には年の離れた妹がいる。
私は父親の連れ子、妹は母親の連れ子で血は繋がってないのだが。
正直、めっちゃ可愛い。
もう妹が可愛い過ぎて生きるのが楽しい。
シスコン?基本だろ。のレベルで可愛い。
で、その最愛の妹は心臓病に犯されているのだ。
手術をすれば、治る。
でも、心臓移植が不可欠なのだ。妹は当時まだ14歳である。
病気というのは基本的に若ければ若いほど、進行が早い。
ただでさえ提供者待ちで溢れているというのに、これでは到底間に合わない。
そこに現れたのが、黒の組織のトップである、あのお方。
初めて会ったのは、高校生の時だった。まあ、中身は大学生なので当たり前なんだが、模試や何かの私の成績に以前から目をつけていたとのこと。
私はあのお方の言葉に縋ったのだ。
正規のルートではない心臓移植の提供者と引き換えに、私は黒の組織に加入した。