*。・SHORT STORY・。*

□RIVALvsRIVAL
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「ヘルガー、バトルスタンバイ!」

「行こう、パートナー!」





―――ポン、ポンっ!





「ヘルルッ!」

「エレキブーッ!」





シンジは捕まえたばかりのヘルガーを、少年はエレキブルを繰り出す。


少年は余裕の笑みを浮かべ、シンジに先手を譲ってきた。





「お先にどうぞ。」

「すかしやがって…目に物見せてやる。ヘルガー、噛み付く攻撃!」

「ヘルッ!」

「エレキブル、アイアンテールっ!」

「ブルルッ!」





―――ドカッ!





「ヘルルッ!」

「怯むな、火炎放射!」

「ヘルッ!ヘルーッ!」

「10万ボルトっ!」

「エレキブーッ!」





両者とも一歩も譲らず、激しい戦いが続く。


しばらくして、ヘルガーの息が上がり始めた時…





「エレキブル、雷パンチだ!」

「ブルッ!」





―――ドカッ!





「ヘルルッ!」





エレキブルの雷パンチがヘルガーにクリーンヒットし、ヘルガーはその場に倒れてしまう。





「…へ、ヘル……。」

「勝負あり、だね。」

「チッ…」





倒れたヘルガーから目を逸らし、舌打ちするシンジ。


一方少年は「よくやった」とエレキブルに言ってボールに戻していた。





「しかし…捕まえたばかりのヘルガーをあそこまで使いこなせるとは、君も中々やるね。」

「…フンッ。」





シンジは踵(きびす)を返して、ヘルガーをボールに仕舞う事なく立ち去ろうとする。


少年は少し声を張り上げて、シンジに呼び掛ける。





「おーい。君、ヘルガーを忘れてないかー?」

「…使えない奴は必要ない。」

「え…」





少年と、ようやく目を覚ましたヘルガーは彼の思いもよらぬ台詞に凍り付いた。


なおも立ち止まる事なく去って行くシンジを少年は慌てて追い、苦笑しながら彼の右肩に手を掛ける。





「ちょっと、冗談はやめて早くヘルガーをボールに戻」

「冗談?俺は至って本気だが?」





ようやっと立ち止まりはしたが、少年の言葉を遮って出たシンジの一言に少年は又もや凍り付き、次に出る言葉を失ってしまった。



しばらくの沈黙の後、少年は真剣な顔付きで口を開く。





「…つまり、あの捕まえたばかりのヘルガーを置いて行く、と?」

「さっきも言っただろ?『使えない奴は必要ない』。何度も言わせるな。」

「ふざけるなッ!『使えない奴は必要ない』って?!君はそれでもポケモントレーナーかっ!?」





冷静を装っていた少年も、ついに堪忍袋の緒が切れてしまい、シンジの胸倉を掴んで激怒する。





「ポケモンを育てて強くするのがポケモントレーナーだろ!
捕まえたばかりのポケモンを置いて行くなんて…ヘルガーの気持ちも考えろッ!!」

「っ!放せよっ!」





―――ガサガサッ…





揉み合っていると、岩場近くの林から別の少年が現れて、こちらに気付いて駆け寄って来た。



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