*。・SHORT STORY・。*
□HAUNTED HOUSE
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ジョウトリーグ出場を目指し、旅を続けるサトシ達一行は、とある街へと辿り着いていた。
その街は今、お祭の真っ最中…。
「うわーっ!見ろよ!お祭だぜっ!!」
「ホントだわーっ!行ってみましょうよ!」
「そうだな。此処んとこバトル続きで遊んでなかったしなぁ〜。」
「んじゃあ早速行こうぜ!」
「ピッカァ〜っ!」
サトシ、カスミ、そしてタケシは街へと続く坂道を駆け足で降りて行った。
「あっ!見て見て2人共!あっちに何か色々あるわよ!」
「どこどこ〜?…あっ!ホントだ!なんか面白そうなのがあるじゃん!」
「よし、行ってみよう。」
そして辿り着いたのは………
『トレーナーのトレーナーによるトレーナーの為のお化け屋敷』
「…何だコレ?」
「お化け屋敷…よね?」
「だろうな。一応“お化け屋敷”って書いてあるし…。」
取り敢えず、怖そうな装飾を施されている建物の入口へ向かう3人。
その付近には沢山の人集りがあり、何故か受付で所持しているモンスターボールを預けている。
その中に見覚えのある顔が1つ…。
「…!あれは…」
気付いたサトシがその人物に声を掛けようとすると、向こうもサトシ達に気付いて声を発する。
「やあ、サトシじゃないか!」
「シゲル!お前もこの街に来てたのか!」
「まぁね。」
「シゲル、此処って何なんだ?」
「君に答える義理はないね!」
「な、何ィ!?」
サトシとシゲルの遣り取りを見て、タケシが「これは揉めそうだぞ…。」と呟き、カスミも「そうね…。」と緊張した顔色を浮かべている。
「まぁ…君が此処が何だか解った所で、クリア出来るとは思わないけどね。」
「そんなのやってみなくちゃわからないだろっ!」
「いつも何かあったら『やってみなくちゃわからない』の一点張り…。疲れないかい、サァートシ君?」
「バカにするな!俺だってやれば出来るんだッ!」
「君と話していると日が暮れてしまう。後ろも詰まってるみたいだし、僕は行かせて貰うよ。」
サトシが後方の行列に目を奪われている間に、シゲルは建物の奥へと姿を消して行った。
「くぅ〜〜〜っ!ライバル〜〜〜っ!!」
「君もチャレンジするかい?見た所、ポケモントレーナーの様だし。」
一部始終を見ていた従業員がリュックの上に乗ったピカチュウを見ながらサトシに声を掛けてきた。
「あの、此処って何なんですか?お化け屋敷に見えるけど…。」
「間違っちゃいないよ。此処は正真正銘のお化け屋敷さ。ただ違うのが…トレーナーとポケモンがお化け役をしてるって事。」
「トレーナーとポケモンが?」
「そう。選び抜かれたトレーナーとそのポケモン達が、この建物の中で色んな仕掛けをして、遊びに来てくれたトレーナー達を怖がらせたり驚かせたりするんだよ。
要はポケモントレーナー達専用のお化け屋敷って事。」
「なるほど〜。」
「でもこのお化け屋敷はかなり怖いからね。途中リタイアするトレーナーばかりで、まだクリアした人がいないんだ。」
「そうなの?!」
「うん。…でも、クリアすれば豪華な賞品が貰えるから、トレーナー達は挙って挑戦してるよ。」
「賞品って…?」
「モンスターボール、スーパーボール、ハイパーボール、リピートボール、タイマーボール、ネストボール、ネットボール、ダイブボール、ゴージャスボール、プレミアボールが各1つづつ入った特性ボールケースさ!
コレクションにしてもいいし、そのボールでポケモンをゲットするのもいい!
ポケモントレーナーにとっては『宝箱』みたいな物だよ。」
「わあ!俺も欲しいっ!」
「じゃあやるかい?」
「やるやるっ!」
カスミが止める声にも耳を傾けず、サトシは受付でエントリーを済ませる。
そして、ピカチュウをタケシに、他のポケモン達を受付に預け、サトシは黒いカーテンの中へと入って行った。
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