闇夜の月光
□第5章
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西暦3034年 6月26日 PM 1:30
そして翌日。
「うぉ〜……なんか…スゲェ光景だな」
大会の会場となる広場のような場所に来て、霧夜は感嘆の声をあげる。
そこにいたのは、“黒龍の使者”のほぼすべてのメンバーだったからだ。
いないのは、今“闇狩り”に出かけている2、3人と、麻鬼、雅、咲間と言った幹部のメンバーだった。
『へぇ…アイツ等が今度入って来た奴等か…』
『あの佐山様が教師として訓練したらしいぞ』
『マジかよ!?』
『麻鬼様もそれなりに認めてるって噂もあるぜ!』
『何者だ!?アイツ等!』
『凄ェ〜!!!』
2人が入ったことで周りの皆からざわめきが起こった。
「凄い視線……」
「新人だからか……?」
霧夜と夏輝は何処か居心地の悪さを感じつつ、部屋の端による。
「シド君、夏輝ちゃん」
そこへ、知っている声がかけられた。
2人が目を向けると、ひらひらと手を振っている哲がいる。
「北村さん!」
「お久しぶりです!」
霧夜と夏輝は漸く知っている人物に出会うことができ、ホッとして、顔を明るくさせた。
「うん、久しぶりだね。…それで、どんな感じ?璃依は教えてくれなくてさぁ〜」
そう言って肩をすくめてみせる哲。霧夜と夏輝は顔を見合わせた。
「なんでりぃ、北村さんに教えないんだろう?」
「さぁ…?」
「なんか言っちゃ悪いことでもあったのか?」
「私達、何もしてないと思うんだけど……」
2人が話していると―――――――
「ま、特に理由はないわよ」
「そうだよな〜……ってりぃ!?」
「っ!」
「あ、璃依。やっほ〜」
突然背後から会話に入った璃依に対し、霧夜はノってから驚き、夏輝はビクゥッと肩を跳ねさせ、哲は気配で分かっていたのかさして驚く様子もなく、ニコッと笑って手を振っていた。