闇夜の月光
□プロローグ
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「もうっ!シド先輩が遊んでるからこんな時間になったんですよ!?」
「大丈夫だって!俺らもうガキじゃねぇっつーの!」
真っ暗な夜道を少年と少女が走っている。
彼らは施設育ちの子供で、現在少年が17歳で高校3年、少女が16歳で高校2年だ。
2人はさっきまで桜を見に行っていた。しかし、そこで友人に会ってしまい、遊んでいたらこんな時間になってしまったのだ。
【ぐぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ】
「「!?」」
帰り道である公園に差し掛かった時、急ぐ2人の目の前に黒い煙の塊のようなものが現れた。
「…何…これ……?」
少女は腰を抜かしてへたり込んでしまった。
少年は空手の構えを取って黒い塊を睨みつけた。
彼は高校の空手部部長。全国でも1位2位を争うくらいの強さを持っている。
……人間相手なら、だが。
だから、目の前の人間ではない物に彼の強さが通じるかどうかは疑問である。
「止めといた方が良いよ〜?怪我だけじゃ済まなくなっちゃうかんね〜♪」
その時、ふわりと2人の目の前に2つの影が舞い降りた。