Silver Sword
□第4章
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「あれか?」
2人はその殺気のもとらしい数人のプレイヤーに近づき、木の陰に身を隠してその集団を見る。
「みてーだな。…ガキか?囲まれてる奴等」
シンが怪訝そうに言うが、その返事は帰って来なかった。
「おいギン。…どうかしたか?」
「……いや、あいつ等がさ…ちょっと……」
歯切れの悪いギンの答えに、シンは眉をひそめた。
「んだよ。ハッキリ言えば良いだろ」
イラッとしてきたシンは舌打ちをしてギンに詰め寄った。
ギンは困ったように先程の集団に視線を戻した。
そこにいたのはギンやシンより数歳年下らしい少年と少女。そしてそれを囲むようにして立っている(しかも武器を持っている)大人のプレイヤーたち。
大人のプレイヤーたちは少年と少女にニヤニヤとした笑みを浮かべて何かを言っていて、少年はそれに困ったような表情をしていて、少女の方は気が強いらしく抵抗するように叫んでいた。
今彼らがいる場所は圏内なのでHPバーが減ることはないが、武器で傷つけられればそれなりの不快感はあるし、何よりも子供達であれば斬られる恐怖が大きいはずだ。
「と、とにかくアイツ等助けようぜ?な?」
ギンが詰め寄ってくるシンをあしらう様にしてそう言えば、シンはフン、と顔を背けた。
「別に、シンが手伝ってくれなくても俺1人で大丈夫だしぃ〜?」
顔を背けたシンにギンがそう言ってやれば、「しょうがねーから手伝ってやるよ」なんてシンが言う。
それにギンは苦笑しつつ、「じゃ、行くか」と言って刀を抜いた。
2人の武器は刀だった。やはりその方が他の剣よりもしっくりくるし、前世で使っていただけあって慣れていたからだった。
最近2人ともエクストラスキルである≪カタナ≫スキルも取っていて、レベルはそれなりに上がって来ていた。
「ギャーギャーギャーギャー、やかましいんだよ。発情期ですか、コノヤロー!」
ギンがまずそう言って刀の峰の方で半分を倒し、
「死にたくなきゃとっとと失せろ」
残った奴らを斬った(と言っても相手は傷一つついていないが)シンがニヤリと笑うと、囲んでいたプレイヤーたちはギャーッと叫びながら逃げて行った。
「おー。すっげー逃げてったじゃん。シン、あんま怖がらせちゃ駄目だろー」
「フン。アイツら、大人のくせに俺達にビビってる時点でおかしいだろ」
「しょうがねーんじゃね?ほら、シンって目つき悪ィから」
ケラケラと笑うギンに、シンはチッと舌打ちをした。
「あ、あの……」
すると少年の方がおずおずと声をかけた。
「…な、何?」
ギンは思わずじーっと見つめてくる少年と少女から目を逸らしてそう答えた。
少女が戸惑いながら口を開いた。
「銀ちゃん…アルか?」
その呼び方、その話口調。顔もよく見れば若干変わっているが、面影は残っている。
どう考えても彼らは――――――――――――
「神楽……新八?」
ギンが言えば、パァッと顔を明るくした少女と少年―――――神楽と新八はギンに抱きついた。
「銀ちゃん!会いたかったアル〜!!!」
「ホントですよ!アンタはいつも一人でどっか行っちゃって…ッ!」
ギンに抱きついて泣きだしてしまった2人に、ギンは悪ィと呟きながら、2人の頭を撫でていた。
前世では銀時は大人だったから2人を包み込める大きさがあったが、今のギンでは2人を支えるのが精一杯だったので、ギンは少し悔しく感じた。
しかし、それでもしがみついてくる神楽と新八をしっかりと抱きしめた。
シンはそれをすぐ傍で静かに、微笑ましそうに見守っていた。
これが万事屋の再会だった。