君との物語
□えぴそーどV
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「とにかく、もう本人も同意の上ですので、それは綱吉君本人に聞いてください。
……ね、綱吉君」
綱吉はビクッとして、姿を現した。
「ツッ君……」
「……母さん。オレ、坂田先生の家に暫く泊まるから。こっちには帰って来ない」
「!?」
「いままで、ありがとうございました」
綱吉がそう言うと、銀八は椅子から立ち上がった。
「今後は綱吉君に関わらぬようお願いいたします。私が責任を持って綱吉君をお守りしますので、ご心配なく」
「待って下さい!だってツッ君は私の子供です!」
「っ何が『私の子供』だよ!!オレにご飯もくれないし、洗濯物だってしてくれない!オレの話なんて全然信じてくれないし!アンタなんて母親でもなんでもないよ!!」
奈々は呆然としていた。
銀八は震える綱吉の肩に手をポンッと置いて、奈々にもう一度向き直った。
「お邪魔しました、奈々さん。……行くぞ、沢田」
そのまま、家を出て行った。
「さようなら」
綱吉は悲しそうにそう家に呟き、銀八の後を追った。
「あ、あの、先生……」
「んー?」
銀八は先程の真面目な様子はなく、めんどくさそうな表情になっていた。
「母さんに、なんて言ったんですか?」
「そりゃ、お前が俺ん家に泊まりますよ〜って」
「でも、母さんあんなに驚いてたし……」
「気にすんなよ、んなこと。お前はこの先のお前のことだけを考えてろ」
綱吉は「先生……」というと、「銀さんとか、銀とかで良い」と言われた。
「じゃ、じゃあ銀さん……?」
銀八は満足そうに頷いた。
「あの、ありがとうございます」
「……おー」
銀八は何故か少し困ったような顔をしたが、すぐに元の表情に戻った。
綱吉は一瞬気になったが、リボーンも何も言わなかった為、対して気にはしなかった。
―――――――――――
「此処が今日からお前が住む家だ」
銀八たちの目線の先には、普通の家にしては少し大きい新しい家だった。
「え、銀さん、こんな所に一人で住んでるんですか……?」
「あぁ。まぁちとでかいが、気にすんな」
銀八はそう言って、ドアのカギを開け、中に入っていった。
綱吉とリボーンもそれに続く。
「うわぁ……!!」
「此処リビングな」
これもまた広かった。
大きいソファーが何個かあり、大きなテレビが1つ。なのに小さなテーブルに椅子が1つ。
そして、テーブルがあるところの隣にキッチンがあった。
「おい、行くぞー」
綱吉は慌てて銀八の後について行った(因みにリボーンは綱吉の肩に乗っかっている)。
「此処が風呂な。んでその隣がトイレ。んでその向かい側が倉庫」
それぞれ見て、そして一番奥の部屋に辿り着く。
「ここが俺の部屋な。大抵此処にいるから、何かあったらこい」
「はい」
いろいろな場所を案内され、綱吉の部屋は二階の丁度銀八の部屋の上である、一番奥の部屋だった。
元の自分の部屋より広い。
「まぁ此処なら日当たりも良いし、良いと思ったんだが……。嫌だったら言ってくれ」
「いえ、ここで良いです」
「そうか。なら良いけど。まぁなんか不憫なとこがあったら言ってくれや」
「あ、はい」
礼を言うと、銀八は「おー」とだるそうに言った。
「まぁこんな時間だからな。夕飯作ってる間に、お前はゆっくりしてろ。いろいろ準備も必要だろ?つーか俺ちょっくら出かけてくるわ」
準備、とはさっき持ってきた私物である。
「棚とか、机とか自由に使ってくれや」
そう言って銀八は部屋を出て行った。
「……リボーン……」
「何してんだツナ。さっさと準備して、勉強始めるぞ」
「……うん」
ツナは少し嬉しそうに微笑んだ。
えぴそーどV
新たな一歩を踏み出すための生活
完
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