銀色×僕SS
□第七話
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「……は?おま、晴太か!?」
銀は驚いたように少年――――晴太を見た。
晴太と言えば、吉原一の花魁の息子で、昔は金をすって取ったりしていた小汚い少年。
その後はお登勢のスナックでお金を貯め、母――日輪に会うために頑張っていた少年。
あんなに小さかった少年が、今やこんなにも大きくなっているとは思わなかった。
しかし、よくもまぁこんなに弱弱しくなんたもんだと思った。
「そうだよ。おいら、晴太って言うんだ。お姉さん名前は?」
「(お、お姉さん……。まあそうなんだけどさぁ……)」
銀は少し困ったが、答える事にした。
「天狼聖 g「えぇぇぇぇぇ!?天狼聖ってあの!?あの天狼聖家のご令嬢ですか!?今日転校してきた方ですよね!?」あー、うん」
晴太はわーわーと騒いでいた。
そこで晋助がギロッと睨む。
「ウッセェよガキ。いつまでも銀としゃべってるとぶった斬るぞ?」
「斬るな!つーか何!?お前ホントに記憶あるのかないのかはっきりしやがれ!」
晴太はそこで眼を見開く。
「も、もしかして銀さん!?」
「もしかしなくても銀さんだ」
銀がそう言うと晴太は数秒固まった後、「えぇぇぇ!?」と言った。
「え、銀さん女になったの!?これなら銀さん吉原で働けたのにー」
「おい、勝手に役職変更すんな。日輪や月詠じゃあるめーし」
「母ちゃんは今、化粧品会社の社長だよ」
「しゃ、社長!?マジでか!」
という事は晴太は(天狼聖家程ではないが)金持ちの令息という事になる。
「おいらは銀さんが女になってたことに驚きだよ。……しかもめっちゃ美人だし///」
晴太は最後はボソッと言ったので、銀には聞こえなかったが、他の4人にはしっかりと聞こえていた。
そして過保護(?)な三人は
「「「(あの小僧!ぶち殺す!!)」」」
と禍々しいオーラを放っていた。
「はぁぁ。アイツが自覚すればこうならないと思うんだけどなー」
「「「同じく」」」
「いや、関係ないみたいな顔しないでくれるー?」
連勝は頭を抱える。
「?お前等どうしたんだ?」
「誰の所為かわかってるー?」
銀は首を傾げた。
連勝は何度目か分からぬため息をついた。
「もういいわー」
「??」
銀だけがこの状況を理解していなかった。
「つーかまさかお前のでかくなった姿が見られるたぁねぇ」
「えへへ。おいら、前の世界では銀さんに見てもらえなかったから、この世、界で……う、うぅっ、銀さぁぁぁぁぁん!」
晴太はいきなり泣き出した。
「ぎ、銀さん、は、おいらと、母ちゃんを救ってくれた、恩人だからっ!家族だからっ!いきなりっ、死んじゃってっ!銀さん、また会えて良かったよーっ!!」
「晴太……」
そう言って銀は晴太の頭をくしゃっと撫でた。昔の時のように……。
「わーるかったよ。先に逝っちまって。……だがまたこうして会えたんだからよしとしようや」
「うん……うんっ!」
晴太は泣きながら頷き、そして暫く泣いていた。
状況が分かる小太郎は微笑ましそうに見ており、残り三人は首を傾げていた。
銀が死んだ、という事についてよく分かっていない。
「銀さん、またおいらの家族でいてくれる……?」
銀は少し驚いたようだが、ニコリと笑った。
「もちろん」
すると晴太は少し頬を赤らめて嬉しそうに笑みをつくった。
「「「きーさーまー!!」」」
「ひっ!?」
銀大好き三人は晴太に殺気をバンバン飛ばしていて、晴太は涙目で怯えていたが、銀が咎めおさまった。
「お前らなぁ、ちっとは連勝を見習いやがれ」
「え、俺もしかして褒められてるー?チョー嬉しいー」
「お前の嬉しいは嬉しそうに聞こえねェんだよ」
すると晴太がクスッと笑った。
「やっぱり銀さんは銀さんだね」
「あ?どうしたいきなり?」
「銀さん女になってるけど、銀さんは自分よりも目の前の人を助ける、誰よりも強い侍なんだと思って」
「今侍じゃねェから」
銀がツッコむと、晴太はあ、と言って頭をかいて笑った。
「ったく、オメェも強くなれや。日輪護んだろ?」
「うん!」
そう言うと昼休みが終わるチャイムが鳴った。