銀色×僕SS

□第六話
2ページ/4ページ





「銀!?」



 銀が柵に捕まり、どうするか迷う。

 今両手は限界に近い。

 かといって少年をそのまま落とすわけにもいかないし、2人とも落ちる訳にはいかない。

 下にはかなりの人だかり(野次馬)がいた。

「(仕方ねェ、一か八かだっ!)」

 銀は勢いをつけて少年を上まで上げようとするが、手が悲鳴を上げる。

「(女の身体ってメンドくせェ!)」

 痛みをこらえて少年を上に投げ飛ばした。

 少年は宙で何とか柵を乗り越えた。

 呻いてはいたものの、打撲程度で済むだろう。

 銀がホッとしたのもつかの間、今度は銀の手が柵から離れてしまった。

「(やべっ!?)」

 骨折程度で済むかなーと呑気に考えた瞬間


 パシッ


「あっぶねー」


「連勝……」

 連勝が銀の手をつかんでいた。

「間に合ったー」

 そう言って銀をグイッと引っ張り上げる。

 重い、とも言わずにヒョイッと持ち上げられ、地面におろしてもらった。

 屋上のコンクリートに足を付けると、まず目に留まったのは、仁王立ちでボロボロの不良たちに説教&暴力をしている、元攘夷三人(小太郎、晋助、辰馬)だった。

「おいテメェ等、銀を土下座させた上に落とすとはどういう事だァ?」

「銀に手を挙げるなど、言語道断」

「おまんらぁ、覚悟はできちょるかえ?」


『『『す、すいませんでしたァァァァァァァァァァァァ!!』』』


「「「ごめんで済むと思ってんのか?」」」

『『『ヒ、ヒィッ!!』』』

 銀は固まった。

「……何してんのアイツ等」

「んーと………粛清?」

「なんで俺の話になってんだよ。普通に考えて、あの生徒―――」

 そこで銀はハッとして、未だに横たわっている少年に駆け寄った。

「大丈夫!?」

 すると少年はうっすらと目を開け、こくりとわずかに頷く。

 すると銀はホッとしたように笑みをつくった。


 だが少年はすぐに気を失ってしまった。


「あ、おい!……連勝、どうしよう」

「医務室連れてった方がよくないかー?」

「そうだな……。じゃあ連勝よろしく」

「いいけど、まずあっちどうにかしないと、あの人達死ぬぜー?」

 銀がもう一度見た時には、黒い笑みを浮かべて、何処からか持ってきたか分からない刀を持っている三人に、不良たちが涙目にして必死に土下座で謝っていた。


「ってえぇぇぇぇぇ!?ちょ、待てお前等!その刀どっから持ってきた!?つーかこの世界で刀抜くんじゃねェよ!」

「止めるな、銀!俺はこいつ等を殺らねばならん!」

「やるが変な方向になってるから!晋も辰馬もやめろ!」

「俺はただ、殺すだけだ。この腐った馬鹿どもを。獣の呻きがやむまでなァ」

「これからはこれぜよ」

「おいィィィィ!いろんな台詞が混じってんじゃねーか!晋はなんか台詞ちげぇし、世界から人に小さくなってんじゃねェか!辰馬に至っては『これ』の意味が違ぇよ!なんで今時刀なのかがわかんねーよ!!何お前等記憶あんの!?」


「銀時、そうカリカリするな」




「テメェ等の所為だろーがァァァァァァァァァァァ!!」




  
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ