銀色×僕SS

□第三話
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『わざわざすみません』

『いえ、教師として当然ですから』


 嘘つき。銀に言われるまで分からなかったくせに。



『旦那様に先生のお名前を言っておきましょう』

『あ、有難うございます!』



 なんで。なんで皆、家柄で決めるの?



 先生もどうせ、僕が白鬼院家の娘だからしただけで、普通の家だったらしない。

 友達もそう。

 今まで友達だと思ってた。

 でもそれは僕と友達になろうなんて思ってない。

 僕はどうして普通の人として見てもらえないんだろう。



 僕は普通に接してもらいたい。


 銀や反ノ塚は普通なのに。


 銀なんて友達がいっぱいいるのに。











『僕は……妹が羨ましい!』


 パァンッ!


『お前に、お前にあの子の気持ちがわかるか!』

 あぁ。お父様さえも僕の味方をしてくれない。



 じゃあ誰なら僕の味方をしてくれる?



 僕を家柄なんかじゃなく、僕を見てくれる人は何処にいる?

 両親も見てくれない。

 先祖がえりだから?



 だから…………僕を嫌うの?

 ……でもそんなものだ。僕の存在なんてただのお飾り。

 家柄を持って、先祖がえりだとあがめられる。

 不自由はない。

 でも寂しい。


 寂しいよ。




 僕ももっと、お父様たちとどこかに遊びに行ったり、お話したり、したいよ。


 比べられた妹は悲しかったのは分かる。


 でも





 僕も、悲しいんだ。


 他人から褒められるんじゃなく、実の親に、褒めて貰ったり、遊んでもらえたりする妹が、僕は羨ましい。


 僕なんて一度たりとも誰からも認めてもらえなかった。


 でも、本音を言ってもお父様は僕を見てくれなかった。









 両親の目には、妹しか映っていないんだ。


 そして何故か次の日、銀は学校に来なかった。

 反ノ塚に聞いても答えてくれなかった。


 そして更に二日後。

 何も言わずに銀は引っ越し、転校していった。

 お父様の話を偶然聞いた。

 銀が転校した理由はお父様に逆らったから、らしい。

 銀が転校したのはお父様の……所為?

 今まで僕を信じていてくれた人が、いなくなってしまう……。

 僕はそれを理由に、銀に嫌われたと思うと怖くて仕方がなかった。

 でも、結局誰にも話せなかった。

 銀。










 ごめんなさい。



 第三話 (完)



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