気づいた時には……

□八話 これからの道
2ページ/3ページ



「その事忘れたら拳骨ぜよ〜……あ」

 辰馬は忘れていた。


 本当の鬼がいる事に。

「そう言えば、晋助。銀時が見つかったがどうする?」

「まずはそうだなァ」

「?何の話だ?」

「き、金時逃げるぜよ〜!」

「だから金じゃねェって銀だって」

 銀時は訳が分からず首を傾げる。

「まずは皆で一万回ずつ、いや、さっきの一回を含めるから九千九百九十九回か?」

「増えてる、さらに増えてる……。銀時、まっことの鬼はこいつらぜよー」

「なーに言ってんだ辰馬ァ」

「俺達が鬼の訳なかろう?」

 フフッと笑う二人は黒いオーラが立ち込めている。

「間違ったぜよ。悪魔、大魔王ぜよ」

 辰馬が引いていると、小太郎と晋助はハハッと笑った。

「嘘だ嘘。2割嘘だから気にするな」

「言い換えれば8割本気って事ぜよ」

「そうとも言うなァ」

「やっぱり悪魔ぜよ〜!」

 三人でワイワイやっているのを見て銀時はハハッと笑う。

「お前等ガキだな、アハハッ」

「ウッセェ。テメェにだけは言われたかねェよ」

「よせお前等」

「そうぜよ!祝いに酒じゃ!酒を用意するぜよ!」

「飲みすぎんなよ。また前は陸奥にぼこられたんだろ?」

「あ、アハハハハ。そうじゃった……」

 辰馬だけ少し落ち込み気味だったが、四人はその後どんちゃん騒ぎがあった。

「銀時は攘夷に戻る、という事で良いのだな?」

「……あぁ」

 銀時は少し躊躇ったが頷いた。

「俺達は今まで通り、で良いな?」

 晋助は頷いたが、辰馬が首を振った。

「わしも攘夷に戻るぜよ」

「「「な!?」」」

「金時は戻るがやき、わしだけとぎ(仲間)外れはちっくと寂しいからのう」

「だってお前、快援隊は……?」

「わしがいのうても陸奥がいるから心配ないき」

 辰馬はアハハハハ、と笑った。

 が、他の三人の顔が引きつっている。

「ん?おまんらぁどうし――――」

「頭ー?今のはどういうことじゃァ?」

 何処からか現れた陸奥が辰馬の髪の毛を思いっきり引っ張った。

 陸奥からは少し黒いオーラが出ている。

「陸奥じゃなかー。どうしてこがぁとこいるがか?」

「どうして、じゃと?」

 陸奥が無表情のまま若干声のトーンを低くした。

「頭がサボるから仕事が進まないんちや。仮にもおんしゃは社長ぜよ」

「仮にもはえずい(ひどい)ぜよ……」

「じゃったらそがあ事言っちゃーせんでいぬるぜよ」

 陸奥は辰馬の髪を引っ張ったまま帰って行った。

 その光景を三人は黙って見ていることしか出来なかった。

「……まぁとりあえず……酒飲むか」

 残り二人も静かに頷き、また三人で杯を交わした。



 やっと銀色の心に

 光が射した



 真っ暗で

 何も見えない闇に

 いくつかの光が

 闇を照らした




 銀色の味方は

 他にもいる




 一人だと

 考え込まないで



 鬼じゃない

 仲間だ




 その言葉が

 銀色を救った




 三つだけじゃない

 いろんな光が

 きっと心に届くから




 だからもう1人なんて

 鬼だなんて

 思わないで




 これからは

 皆一緒




 そう


 皆……一緒なんだ




 八話 これからの道 (完)







よければ拍手お願いします↓

次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ