気づいた時には……

□六話 救いの手
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 そして、諦めかけたその時。




「おい、聞いたか、白夜叉の話」



 三人はたまたまそこにいた男たちが話している内容が聞こえた。


「聞いた聞いた。吉原で人殺してるって話だろう?」


 三人は頷いて男たちの元へ行く。

「その話、聞かせてはもらえんか?」

「ん?白夜叉の話かい?」

「あぁ。そうだ。その白夜叉が吉原にいると言うのは本当か?」

 男は小太郎たちを不思議そうに見ていたが「あぁ」と頷いた。

「そういう噂だ。さっき真選組の奴等もパトカーで走って立ったからな」

「『待ってろ、白夜叉ァァァァ!』とか言ってたし多分だがな」

「そうか……」

 小太郎は晋助と辰馬に目配せをして「行こう」と言った。

「これじゃあ吉原に遊びに行けねェな、当分」

「だな。鬼にあったら何されるか分からな―――」



「おい、テメェ」



 晋助が男の胸倉をつかむ。

「な、何だお前!」

「いいか、良く聞け。金輪際銀時を鬼となんぞと呼ぶんじゃねェ。

 もしまた呼ぶような事があったら」


 晋助はかぶっていた編笠を上に持ち上げ睨みつけた。



「俺が殺す」




「ヒッ!た、高杉 晋助!?」

 男達は晋助だとわかると、顔が恐怖で染まる。

「……晋助、それ位にしろ」

 小太郎が止めに入ると、晋助は舌打ちをし、男を放す。

 男達は一目散に逃げていった。

「晋助は短気じゃのう」

 辰馬が言うと晋助はそっぽを向いた。

 それに辰馬はアハハっと笑う。

「けんど晋助。怒ってるのはおまんだけじゃないぜよ」

 辰馬の笑みは何処か怖かった。

「「(辰馬ってこんなに黒かったか……?)」」

 思い出してみると辰馬が黒くなる時はいつも、仲間(特に銀時)が馬鹿にされたりする時だ。

 寺子屋に通っていた頃はいつも鬼だと言って銀時を追い払おうとする大人たちを、その黒い笑みで出迎えていた。

「……とりあえず、行くぞ」

 辰馬は黒い笑みを無くし、真剣な顔になった。

 晋助も真剣な顔で頷く。

「それから辰馬」

 小太郎は辰馬に刀を投げた。

「貴様、今銃なのだろう?刀くらい持ってろ。銀時を護るのに、銃では無理があるだろう」

「……サンキューぜよ、ヅラ」

「ヅラじゃない、桂だ。急ぐぞ」

 三人は早く行かなければ、と思い急いで向かう。


 もし、今も銀時が壊れ続けているのだとしたら、それを止めなければならない。

 家族という心の支えが無くなった銀時は、

 苦しんでいる。

 もがいている。


 お願いだから生きていてほしい。

 いつも俺達を助けてくれていた、護ってくれていた銀時を






 今度は自分たちが護る番。
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